あじゃみんのブログ

美味しいものや、経営する雑貨店のこと、女性の心身の健康について、その他時事ネタなど好き勝手に書いているブログです。

新型コロナウイルス 「感染7段階モデル」について その3 自然免疫と獲得免疫について 前編

その1

その2

前の記事でご紹介した「自然免疫」と「獲得免疫」とはどんなものでしょうか。

人間には、元々、ウイルスや細菌などの外敵から身を守る「免疫力(病気を免れる力)」があり、その働きで多くの外敵から身を守っているため、健康に日常生活が送れているのです。今は薬の開発によって不治の病とは言わなくなりましたが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染して引き起こされる後天性免疫不全症候群(エイズ)が恐ろしかったのは、この免疫機能が極端に低下してしまうために、細菌、真菌(カビ)やウイルス感染症(日和見感染)や悪性腫瘍が起こった状態となり、死に至る病だったからです。

ウイルスなど異物が侵入した時にいち早く駆けつけるのが、白血球の一種である好中球など食細胞と呼ばれる細胞で、異物を自分の細胞の中に取り込んで殺菌を行います(貪食)。ウイルスや細菌を飲み込んだ好中球はやがて死亡し、マクロファージがその細胞を取り込んで消化してしまうのです(いいコンビですね)。なお、マクロファージは、好中球と同じように侵入したウイルスや細菌を貪食しますが、好中球とマクロファージの違いは、好中球は死んだ細胞などは食べませんが、マクロファージは死んだ細胞なども食べるため、体内の清掃屋の役目を持っています。なんでも食べてしまうマクロファージだからか、通常、貪食細胞と呼ばれる細胞は、このマクロファージを指します。

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このように、人間はもともと持っている自然免疫のおかげで、菌やウイルスの感染を防げているわけです。ただし、この自然免疫はそれほど強くないため、弱点もあり、この免疫機能を潜り抜けて細胞に侵入したウイルス情報を獲得して立ち上がるのが「獲得免疫」です(後編で解説)。

今回の新型コロナウイルスは、毒性は弱く、「感染7段階モデル」を提唱した高橋教授によれば、ほとんどは初期段階にこの自然免疫が働き、無症状や風邪の症状程度で治癒してしまっていると推測しています(ステージ0から2まで)。

(感染7段階モデル:おさらい)

ステージ0:暴露したことがない。      症状・状態:無症状
ステージ1:暴露したが感染したことがない。 症状・状態:ほぼ無症状
ステージ2:感染したが自己免疫で対抗する。 症状・状態:ほぼ無症状か風邪症状
ステージ3:獲得免疫が立ち上がり始める 。 症状・状態:風邪症状、隔離
ステージ4:獲得免疫と戦う。   症状・状態:症状が全身に広がる(軽傷)、入院
ステージ5:サイトカインストームが発生し、ウイルスは凶暴化する。
      症状・状態:急速に重症化、入院
ステージ6:死亡

高橋教授は、

私の研究チームはこの現象を、新型コロナは毒性が弱いため、生体が抗体を出すほどの外敵ではなく自然免疫での処理で十分と判断しているのではないかと解釈し、「なかなか獲得免疫が動き出さないが、その間に自然免疫が新型コロナを処理してしまい、治ってしまうことが多い」という仮説を立てた。前出記事

 このようにウイルスに暴露はしたものの、98%が自然免疫で治癒してしまったいるので、

こうした仮説で想定した状態が実際に存在するなら、この時期の人は無症状または風邪のような症状であり、自身が新型コロナに感染したという自覚がないうちに治ってしまう。もしこの時期にPCR検査を行えれば、新型コロナは体にいるのでPCR陽性となることもある。一方、まだ抗体はできていないので、抗体検査を行えば当然「陰性」となる。そして、その後、症状が進んで獲得免疫が発動しても新型コロナを抑え込めなかったごく一部の人でサイトカイン・ストームが起きてしまい、死に至ることもある。

としています。抗体ができる以前に治ってしまっているのであれば、抗体がほとんど見つからないのもうなずけます。

ちなみに、2020年8月3日時点では、

PCR検査 陽性者の数 38,687人(+1,331)
PCR検査 実施人数 849,115人(+12,711)
入院/治療が必要な者 10,783人(+1,002)
うち重症者  87人(+4)
確認中 437人(+378)

死亡者数 1,012人(+1)      
退院/療養解除となった者 26,487人(+581)

となっています。(報道では「感染者数」としていますが、PCR検査で感染の有無はわからないため、PCR検査陽性者数に訂正しています)

後編に続く

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