あじゃみんのブログ

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新型コロナウイルス 「感染7段階モデル」について その3 自然免疫と獲得免疫について 後編 <獲得免疫とサイトカインストーム>

その1

その2

その3(前編)

前編では、自然免疫について書きましたので、次は獲得免疫について書いていきます。

高橋教授の提唱している「感染7段階モデル」によれば、新型コロナウイルスに暴露された人のうち、98%は「自然免疫」で治癒してしまっているため、その後の獲得免疫が発動するに至らないため、抗体検査をしても抗体を持っている人が少ないのだろうと推測しています。

これは、新型コロナウイルスの毒性がとても弱いことに起因していて、初動の自然免疫で十分まかなえているからともいえるのですが、その中でも自然免疫では対処できない人たちがいて、7段階でいえばステージ2以上に進んでしまう。またその中でも一部の人がウイルスというより、この獲得免疫が発動してもウイルスが抑え込めなかった場合にサイトカインストームによって重症化してしまうとのことです。

【感染7段階モデル】

ステージ0:暴露したことがない。      症状・状態:無症状
ステージ1:暴露したが感染したことがない。 症状・状態:ほぼ無症状
ステージ2:感染したが自己免疫で対抗する。 症状・状態:ほぼ無症状か風邪症状
ステージ3:獲得免疫が立ち上がり始める 。 症状・状態:風邪症状、隔離
ステージ4:獲得免疫と戦う。   症状・状態:症状が全身に広がる(軽傷)、入院
ステージ5:サイトカインストームが発生し、ウイルスは凶暴化する。
      症状・状態:急速に重症化、入院
ステージ6:死亡

獲得免疫とはなんぞや

私もこの連載を書くにあたり、「一般人の理解できるレベル」限定ですが、本当に色々勉強させてもらいました。この歳で新しいことを覚えるというのはしんどいものですが、自分の引き出しが増えるのは良いことですからね、良しとします。

さて、日本では新型コロナウイルスに暴露した人の98%が自然免疫で治ってしまっているとシミュレーションから推測している高橋教授ですが、その中でも重症化する人については、獲得免疫でも抑え込めなかったごく一部の方としています。

獲得免疫とは、自然免疫で抑え込めなかった場合、活躍していたマクロファージや樹状細胞がそのウイルスの情報をリンパ球(T細胞やB細胞など)に伝え、これらの細胞は、その情報を記憶して攻撃したり、抗体を作ったりするのです。

ステージ3以上の主に感染した後に働く細胞ですね。

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人間の体のシステムの神秘というか、人間だけではないのでしょうけど、本当にすごいなぁ~と思いますよ。

抗体を作ったりする細胞はリンパ球の一種ですが、T細胞が3種類で「キラーT細胞」は樹状細胞から受け取った抗原情報をもとにその細胞に取り付いて攻撃し、排除します。これが「殺し屋」の名前の由来です。ヘルパーT細胞は、樹状細胞やマクロファージから抗原情報を受け取り、サイトカインなどの免疫活性化物質などを産生して、攻撃の戦略をたてて指令を出します。免疫が機能するようにお手伝いをする細胞ですね。サイトカインというのは、ひとつの物質ではなく、免疫を活性化させるタンパク質の総称です。そして、制御性T細胞は、キラーT細胞が健康な細胞も攻撃してしまったりしないようにコントロールしたり、「もう、いいんでね?」と活動をストップさせたりしてくれる存在です。この三つ巴で頑張るんですね。

そして、B細胞ですが、この細胞が「抗体」を作り出す細胞です。

抗原の情報を受け取ったら、その外敵だけを攻撃する抗体を作り出して排除の手助けをします。

B細胞が作る抗体には作る細胞ごとにパターンがあって、そのパターンに合致した抗原に対しての抗体を作り出すようになっています。

その他、リンパ球の中でも強いのがNK細胞です。

上の図には書いていないのですが、それはこのNK細胞がローンウルフだから。

NK=ナチュラル・キラーというのは、他の細胞のように情報のやり取りなどは必要とせず、単独で外敵と戦う細胞だからです。ナチュラル(生まれながらの)キラー(殺し屋)と呼ばれるのはこのためです。

サイトカインストームって?

インフルエンザのような強いウイルスの場合は、そのウイルス自体が肺炎を引き起こさせて人を死に至らせたりするのですが、この新型コロナウィルスの場合は、ウイルス自体というよりも、サイトカインストームによって引き起こされる症状で重症化~死に至ることがほとんどと言われています。

では、このサイトカインストームとはなんでしょうか。

サイトカインは、免疫活動を活性化させる、つまりサポートするタンパク質の総称ですが、そんな応援隊のような存在が病気を重症化させてしまうってどういうことなんでしょう。サイトカインが細胞から血液中に分泌されると、発熱や倦怠感、頭痛、凝固異常などが起こります。サイトカインが分泌されるのは身体を守るためであり、身体に異常が起きているのを知らせるためでもあるからです。新型コロナウイルスに感染し、肺炎が起こった場合はその細胞からサイトカインが産生されます。これは他の細胞に「肺炎が起きてるよ!」と伝えるためで、これによって情報を伝えられた細胞は起きた炎症を静めるように働くのです。
ただし、この炎症が大きくなるとサイトカインも大量に分泌され、体への影響も大きくなります。
サイトカインストームは、この免疫サポート機能が過剰に起こってしまい、影響も強くなります。サイトカインが分泌されると発熱や倦怠感、頭痛、凝固異常が起こるわけですから、それが過剰に起こってしまうと、全身状態が悪化したり、血栓が出来てしまったりします。
凝固異常で血栓症が起こり、それによって心筋梗塞、肺塞栓、脳梗塞、下肢動脈塞栓が起こる可能性が高まります。
主な症状は肺炎のため、死亡原因が「肺炎」と診断されることが多いようですが、肺炎と診断されて亡くなった方から、心臓や肺や脳に血栓があった例は多数報告されているそうです。

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しかし、死亡原因については、別の説も出てきています。

2020年4月20日の英国医学雑誌LANCETに掲載された仮説で、新型コロナウイルスが肺を通じて血液内に入り、血管を攻撃するのではないかという内容の論文が発表されました。
正確には血管のACE2受容体(アンジオテンシン変換酵素2受容体・・・ 肺や腎臓や小腸に多い物質)と呼ばれる部位です。
血管を傷付けることで血栓が生まれます。
この仮説が正しいとすると、最近報告されるコロナ患者様の突然死(心筋梗塞や肺梗塞の可能性)や、アメリカでの若いコロナ患者様の脳梗塞も説明できると思います。
つまり、肺炎自体はそんなに重症ではないのに血栓が出来て、心筋梗塞や脳梗塞になってしまうのです。もちろんサイトカインストームにはなってない状態です。新型コロナウイルス感染とサイトカインストームと血栓症の関係について

その4 死亡者数の少ないわけ・・・に続く

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