国際医療福祉大学の高橋泰（たい）教授が、新型コロナウイルスの「感染7段階モデル（0～6）」というのを提唱されているのを読んだのですが、私がモヤモヤしていたことと合致していて、もちろん「仮説」ではありますが、非常に納得できたのでシェアしますね。
なお、極力専門用語などを排除して書きますので、厳密に言って違う表現もあるかも知れませんが、違う方向にミスリードしていなければ良しとしています。
PCR陽性がすべて感染者ではない
東洋経済のインタビューの冒頭で、高橋教授は
「発表されている数字はあくまでもPCR検査で判明した「PCR陽性者判明数」であり、正確には「感染者数」ではない。もちろん「発症者数」でもない。特に若年者の場合、PCR陽性者が発症する可能性は低く、多くが無症状・軽微な症状で治ってしまう。」～新型コロナ､日本で重症化率･死亡率が低いワケ～
とお話されています。 つまり、PCR検査で陽性となった場合でも、それがイコール感染者ではないということです。これはウイルスの感染がどうして起こるかがわかると意味がわかるのですが、ウイルスが体内に入ったことを「暴露（ばくろ）」といい、この時点では細胞に取り込まれてはいないため、感染したとは言わない。感染とは、暴露されたウイルスが細胞にある受容体と結合し、細胞内に取り込まれたことを言うのです。
今の報道は、PCRで陽性と出た人はすべて「感染者」としているため、実はもう無症状で治ってしまった場合でも、ウイルス自体（もしくは残りカスのようなもの）は残っていることがあるため、検査で陽性と判断される。実はもう治った人だったのに、陽性になったことで感染者とされ、隔離措置を取られている人も少なくないのではないかと思います。
「新型コロナの患者数を予測するために使えるデータが現状では非常に限られる。かかった人の重症化率や死亡率という最も基本的なデータすらない。」ため、
新型コロナの全体像を把握するためには、全国の暴露者数を推計することが大切なので、①全国民1億2644万人、②年代別患者数の実数値、③抗体陽性率推計値（東京大学の推計と神戸市民病院の推計）を使って、パラメータである暴露率（新型コロナが体内に入る率）をいくつか設定し、動かしながら、実際の重症者や死亡者のデータに当てはまりのよいものを探るシミュレーションを行った。同記事
次に、高橋教授の提唱している「感染7段階モデル」を具体的に見ていきましょう。
感染7段階モデル
ステージ0：暴露したことがない。 症状・状態：無症状
ステージ1：暴露したが感染したことがない。 症状・状態：ほぼ無症状
ステージ2：感染したが自己免疫で対抗する。 症状・状態：ほぼ無症状か風邪症状
ステージ3：獲得免疫が立ち上がり始める 。 症状・状態：風邪症状、隔離
ステージ4：獲得免疫と戦う。 症状・状態：症状が全身に広がる（軽傷）、入院
ステージ5：サイトカインストームが発生し、ウイルスは凶暴化する。
症状・状態：急速に重症化、入院
ステージ6：死亡
このシミュレーションの結果、高橋教授は「まず、国民の少なくとも3割程度がすでに新型コロナの暴露を経験したとみられる。暴露率はいろいろやってみたが、30～45％が妥当だろう。そして、暴露した人の98％がステージ1かステージ2、すなわち無症状か風邪の症状で済む。すなわち自然免疫までで終了する。」としています。
この説でいえば、新型コロナウイルスは暴露力は強いので、この状況では、自分もウイルスに暴露している可能性が高いことを意識しながら生活することが大切なようです。自分の行動を知られたくなくて、感染経路を意識して話さない人もいると思いますが、本当にわからない人も多いのは、気を付けていても、これだけ広まっている状態では、誰しもが暴露する可能性はあると思わないといけないですね。このような状況の中で、感染者を非難したり、家族や会社にいやがらせをするなんていうのは、情弱そのものです。
あなただって明日感染して発症するかも知れまないんだよ！ということをちゃんと知らせることが行政や政治の仕事なのに、なんだか専門家の記者会見も貴重な情報ではあるのですが、生活に即したものになっていない気がしています。コロナにかかったらみんな不適切な行動をしていたことになるような煽り報道は即止めるべきです。
その2に続く
