あじゃみんのブログ

美味しいものや、経営する雑貨店のこと、女性の心身の健康について、その他時事ネタなど好き勝手に書いているブログです。

川での不思議な体験

序章:夏休みの楽しみ

私の家族は、父・母・兄・私の4人家族で、家族全員での旅行は幼い時からしていました。大人になってからも、両親が元気だった時は、家族で温泉などに毎年行っていたほどです。今日は、私がまだ幼稚園の年長クラスだった頃の夏休みの出来事をお話します。

 

先日、去年他界した父の仏事があり、久しぶりに兄が実家に帰ってきました。

その時、家族旅行の思い出など昔話に花が咲き、「そういえば、駒子(仮名、こまりんさんの文中の名前)が川でおぼれた時のこと覚えてるか?」と兄が聞いてきました。

幼稚園のときの話だったので、すべてを覚えていたわけではないのですが、話しているうちに記憶が蘇ってきて、「本当によく助かったよねぇ」と何か他人事みたいにつぶやいてしまいました。

私と兄はかなり年齢が離れていて、私が年長の時、兄は高校3年生でした。

翌年に大学受験を控えて猛勉強中だったため、毎年のように夏休みに泊りがけでどこかへ行くわけにも行かず、それでもどこへも行かないのは駒子も可哀想だしということで、車で30分弱の場所にある川にバーベキューをしに行くことになったのです。その川は、かなり幅が大きく長い川で、場所によっては周囲も緑が豊かなので、十分旅行気分を味わえるような場所でした。

I:視線の先には・・・。

夏休み期間とはいえ、平日の日中だったので、ほとんど人はおらず、うちの家族を含めて4~5家族がバーベキューをしていました。

私はまだ小さかったので、荷物を運ぶといっても、調味料の入ったバッグくらいで、すぐに飽きてしまい、川べりの石がちょっと水をかぶっている程度の浅瀬で、水をぱしゃぱしゃしたり、小石を川に投げたりして遊んでいました。

すると、準備を手伝っていた兄が飛んできて、「駒子!ダメだよ水に近づいちゃ!」と言って私をバーベキューの台のあるところまで連れ戻しました。

水着にも着替えていないですし、足も水に浸からないようにしていた私は、なんでそこまで言われるのか分からず「水に入ってないもん!」と連れ戻されても何度も川べりに戻って行きました。

兄もとうとう根負けして、「見えるところにいろよ」といって、私を監視するだけにしたようでした。

「は~い」

私は勝ち誇ったように兄を見ました。

不思議だったのは、兄は私を連れ戻しにきた時も、私ではなく川のもっと中ほどを見ていたのです。私が川べりに遊びに戻っても、兄がしょっちゅう首を延ばしてこちらを見ているのは分かっていましたが、その時も私というより、私を越えた向こう側を見ているという感じでした。

II:溺れる

相変わらず川べりでぱしゃぱしゃと水を飛ばして遊んでいると、小さなカニがちょこちょこ顔を出したのが見え、「カニさんだ!!」と興奮した私は夢中で隠れたカニを探していました。しかし、足を水に濡らさないよう、石の上から見ていた程度でした。

しばらくすると母の声で「駒子~!できたよー。早く来ないと先に食べちゃうわよ~」と呼ばれ、「は~い」と元気に返事をして、カニを気にしながらも立ち上がってその場を去ろうとした時、走ってきた兄に腕を掴まれて引っ張られたのです。

この時、兄は何かを叫んでいたのですが、目の前にいるのにその声がまったく聞こえませんでした。

「なに?お兄ちゃん、何ていったの?」

それを声に出して言ったかは覚えていないのですが、大きな口を開けて何かを叫んでいるようなのに、まったく兄の声が聞こえないことに不安を覚えていました。

「えっ?」

次の瞬間、何かにすごい力で両足を掴まれ、ずるっと水に引き込まれました。

兄が掴んだ手もかなり強い力でしたが、それよりももっと強い何かに小さな体は抵抗も出来ず、ずるすると川の中に引っ張られていきました。

あまりの恐怖に足元を見ると、長い黒い髪の毛が束になって私の足首に絡みつき、その髪に川の中に引っ張られていたのです。

力の強さと勢いで、とうとう兄の手も離れ、あっという間に私の体は水に飲み込まれていきました。必死に助けを求めて兄の方を見ていましたが声は出ず、私を追いかけながら必死に何かを叫んでいる兄の顔を見ながら恐怖に震えていました。

こちらに向かってくる兄は大声で叫んでいるようでしたが、やっぱり声は聞こえませんでした。

私の小さな体は、川の流れに乗って、どんどん家族から離れて行きました。

III: 落ちる

気づくと私は水の中にいて、ずっとずっと流されていました。

日の光もあまり届かない、薄暗い濁った緑色の水の中で、ゴボゴボという水の音を聞きながら、ひたすら流されているのです。

流されていたのがどのくらいの時間なのか、まったく分かりませんでした。

ただ、自分が流されているという感覚だけがある世界にいたようでした。

しかし、終わりは突然やってきました。

ボチャン!と、何か穴のような場所に落ちたのです。

横はコンクリートで出来ている場所で、その穴に腰から下がすっぽりはまって動けなくなった私は、下を見ても緑色の水が見えるだけで、上からぼんやりと見える光の方に手を伸ばしました。体がどんどん冷たくなっていくのが分かりました。まったく苦しくもなく、「ああ、死ぬときってこんな感じなのかなぁ~」とぼんやり考えていました。

幼稚園の年長でこんなことを考えるのか疑問に思うのですが、その頃を思い返すとそんな気持ちになったという感じでしょうか。

IV:救助

どの程度の時間が経ったのかはわかりませんが、「眠いなぁ~」と、ボーっとして伸ばした手を誰かがぐっと掴み、私の頭もがっしりした手に捕まれて、ひっぱりあげられました。

「いたぞー!!!生きてる生きてる!救助完了!」

「意識なし!急げ!」

意識なしと言われた私ですが、大きな男性の声ははっきりと聞こえていました。

でも、なんだか夢のような感じで、その後のことはまったく意識に残っていません。

次に気づいたのは、病院のベッドの中でした。

後から分かったことですが、この時私はおよそ5時間も川を流されて、その距離は4キロにものぼったそうです。

発見は、大きな橋の橋脚にある穴の中でした。

時間的にちょうど太陽の光がその穴の中を照らし、私の姿が見えたんだそうです。

私はちょっとした切り傷や擦り傷はありましたが、まったく水も飲んでおらず、低体温だったので心不全の危険性があったようですが、特に心臓へ影響もなかったようです。

外は真っ暗になっていましたが、その日のうちに帰宅が許されました。

V:生還

記憶を辿っても、どう考えてもずっと水の中を流されていたのに、どうして水を飲まなかったんでしょうか。このことは、今でもまったく想像がつきません。

後日、救助のお礼に家族で伺った時、「あの橋脚の穴にはまって助かった人は今まで一人もいなかったから、本当に助かって良かった」と言われました。

その川ではかなり多くの人が毎年流されていて、その穴でよく遺体が見つかるのだそうです。「あの穴は水死体が発見される有名な場所だからね~、あ~またここか~って思ったんだけど、よく水を飲んでいなかったね~!苦しかったでしょう~?」救助してくださった方はそういって笑顔で私を見ていました。

本当にどうして助かったのか、今でも、まったくわかりません。

VI:兄の話

兄が思い出話で語ったところによれば、川に到着した時から、兄にはその「女」の存在が見えていたようです。

そしてどうやら、私を狙っているのがわかったので、なるべく川から離しておきたくて連れ戻していたようなのですが、私にはそんなことは分からないので、抵抗していたわけです。最初は川の深いところにいたその「女」がだんだん私に近づいてきていたので、なにごともないようにと常に見張っていたのですが、私を呼ぶ母の声に気を取られた一瞬、目を離してしまい、その隙にグッと近づいてきた女に私が捕まってしまったようでした。自分ではどうにもならなかった兄は、すぐに大声で大人たちに助けを求めたそうです。

今日の話は、この兄の話と私の記憶の部分とをお話しているのですが、緑色の水の中を流されていた時のことは今でもたまに夢に見る時があります。

「しかし、よく生きてたよねぇ」

私がしみじみ言うと、「駒子は長生きすると思うよ」と兄が言うので、「なんで?」と聞き返すと、こんなことを話してくれました。

「駒子が生まれて初めて家に連れてこられた日の夜にさ、駒子の寝ているベビーベッドの周りに10人くらいのご先祖様が交代で見に来てたからなぁ。しかも、みんなニコニコ笑ってたんだよ。だから、お前は強運だろ?ずっと守られているからだと思うよ」

家族の中で最強の霊感おとこである兄が言うのですから、本当なんでしょう。

それなら、ありがたいことです。

(終わり)

*****

 

いやぁ~、今回も本当に不思議な話でした。

でも、最後の話でこまりんさんがツイている(憑いてる方じゃなくてラッキーね)女だというのは分かった気がしますね。

とにかく「そんなことあるの?」って、ここに書けないラッキーなことが起こっている人ですから・・・。