話題の本を買った。
”トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇”
アビゲイル・シュライアー著「Irreversible Damage: The Transgender Craze Seducing Our Daughters」の日本語訳で、当初はKADOKAWAが出版する予定であったが、強烈な妨害に屈して出版中止となったものを産経新聞出版が「出版文化と表現の自由を脅かす前例を作ることになり得る」として出版を決めた本だ。
原題のIrreversible Damageは、不可逆的ダメージ、つまり「取り返しのつかないダメージ」のことで、アメリカで急増する若年トランスジェンダー、特に「自分は男である」とする少女たちがカウンセラーや医師たちに煽られ、10代前半の思春期に思春期ブロッカー(第2性徴を止める薬)や男性ホルモン剤のテストステロンを打たれ、乳房を切除する手術を受けるという自分が親だったらおかしくなりそうな実話が紹介されている。本来、本質的に抱く性別違和は2歳から4歳に見られるが、本書で紹介される「自分は男だ」と言い出した少女たちには、幼い時にはその傾向はまったくなく、それこそ「ある日突然」自分はトランスジェンダーだとカミングアウトするという特徴がある。
この本では多感な時期の少女たちが過剰なSNSや活動家の肯定文化によって、思春期に「自分はトランスジェンダーだ」と洗脳される怖さを紹介している。
以前は、トランスといえば男性から女性にというのが大半だったが、ここ10年で女性が自分は男性だという割合が激増しているという。ひとりから伝染する集団ヒステリーさながら、友人同士でカミングアウトするのは思春期の少女たちだ。
思春期で自分は誰なのか、居場所はどこなのか、そんな悩める少女たちが「輝ける」存在となるのは「自分はトランスジェンダーだ」とSNSで告白することだ。
その告白は賞賛され、拡散される。
少女たちは、やっと自分の居場所を見つけたと錯覚し、ますます「自分は男なんだ」という妄想に陥っていく。
そして、取り返しのつかないダメージを被る道筋が作られていくのだ。
この本は、内容に賛否はもちろんあるようだが、一読の価値はある。
特に思春期の子供を持つ親は読んでおいた方がいいだろう。
読まずには、肯定も否定もできないし、批判すらできないはずだ。
決して、ヘイトではない。
病んでいくポジティブ・アメリカ
この本に限らず、昨今のアメリカで顕著なのは、とにかくなんでもポジティブに捉えて肯定することを称賛する文化である。本来はネガティブに捉えられても仕方ないことをすべて肯定し、疑問を投げかけたり、否定する人を「XXXフォビア(XXX嫌悪)」や差別主義者と非難する。
自信を持つことは良いかとかもしれないが、行き過ぎると危険を伴うこともある。
その良い例が「ファット・ポジティブ(Fat Positive)」というムーブメントだ。
肥満大国アメリカ。
私も太っているので人のことは言えないが、ここでいうところの肥満は通常の人の3倍も4倍も、はたまたそれ以上に体の大きな肥満体の人のことで、少し歩くだけでも大変なほど太っている人たちを指す。
歩いているとゼイゼイと息を切らしている音が聞こえてきそうだ。
いや、彼らはそう歩かないのかもしれない。
彼らを見れば不健康そのものだと誰もが思うだろうが、ポジティブ・アメリカはそうではない。
そういう人たちの中から「インフルエンサー」と呼ばれる人たちが現れ、「どんな体でも美しい」「太っていても健康だ」と巨体を揺らしながら踊ったり、お洒落した姿を見せて人々に「自信を持って」と呼びかけ、それを観た肥満の人々や、肥満でなくても太っている人に肯定的な人たちから「素晴らしい」「その通り」と称賛されている。
最近はモデルにもプラスサイズモデルと呼ばれる人たちが出てきて、誇らしげにラン・ウェイを歩いている。みんなが従来のモデルのようになる必要もないし、細ければ良いわけではないが、太り過ぎは死と隣り合わせのリスクがある。
この「ファット・ポジティブ」という運動は瞬く間に広がり、人々は「太っていることは悪いことではない。私たちはそのままで美しい」とジャンクフードを食べ続け、健康のケの字も気にしない生活を続けたのだ。
結果は分かりきっている。
ファット・ポジティブのインフルエンサーたちは、何人も若くして死んでいる。
ティックトックやインスタグラムで「賞賛された」人々が肥満から来る病気や疾患で何人も亡くなってしまった。
ある若い人気ティックトッカーの肥満女性は「私は過食とセルフケアの欠如で人生を台無しにしました」と後悔を口にし「手遅れにならないことを願っています」と悲痛な告白をしたが、残念ながら既に手遅れだった。
彼女ももうこの世にはいない。
こんな風に「誰が見たっておかしいだろ」という事柄をも「ポジティブに肯定」し、疑問を呈したり反対する人たちを「XXXフォビア」(XXX嫌悪)、差別主義者と呼んで糾弾し、過激な抗議活動によって職を失わせたり、謝罪に追い込んだりしている。
(元ネタ)
多様性という名の非多様性
「多様性を大事にしよう」とLGBTQ活動家たちは笑顔で声高にそう主張する。それぞれが違って当たり前という考え方は尊重すべきだが、そのような「多様性」を主張する人ほど「それって違うんじゃない?」という意見に耳を貸さないどころか、過激な抗議活動や個人攻撃によって、自分の考えと違う人だっているという多様性を否定している。
多様性というのは、それぞれが違った価値観を持ち、それを尊重する社会のはずだが、なぜか自分たちが「正」で、その考えを肯定しない人々は「悪」だと断罪する。
それのどこが多様性なのか聞いてみたいが、どうせ議論にはならないから放っておくことにしよう。
日本でも増えているポジティブ・ムーブメント
LGBT理解増進法という愚法(個人の意見です)が成立してから、活動家の子供への洗脳工作が危惧されている。アメリカでもまるでポルノかと思うような性教育が行われて問題になっているが、日本でもさまざまなセックスを肯定する内容の副読本のようなものが作られて話題になっている。
大人たちも感化され「自分の子供がLGBTで居場所がなかったが、XXという場所を知って良かった」と思春期の子供のゆらぎをただ肯定し、レッテルを貼るという親も出てきている。本当に悩んでいる子供もいるだろうが、本来思春期が終われば「あれはなんだったのか」で済んでいたことが周りが積極的に肯定することで、その界隈に植え付けてしまうのは恐ろしいことだと思う。心身の成長には特徴があり、経験が浅く視野の狭い子供たちを一方的な思想に追いやってしまうのは賛成できない。
脱トランス
アメリカでは、ある種の揺り戻しも起きている。
LGBTを肯定し、自分の気持ちだけで性別を決めて良いとか、そんな状況に多くの人が疑問を投げかけている。恐ろしいことに、10代の多感な時期にSNSなどで「こういうことを考えているきみはトランスだ」という意見を毎日のように見聞きし、カミングアウトした友人に感化されて自分もトランスだと思い込み、心配した親が医師やカウンセラーに娘を診てもらうとその医師やカウンセラーが「XXXさんはトランスジェンダーですよ」と肯定し、積極的に思春期ブロッカーや男性ホルモン(テストステロン)の接種を促し、乳房の切除を勧めるのだ。親が反対すると「トランスフォビア(トランス嫌悪)」と非難し、そういう風にさせないとこの子は自殺するかも知れないと脅すのだ。
そして、本当の自分になるためには手術した方がいいとまだ10代前半の少女にさもそれが幸せの道であると解き、それこそ後戻りできない傷を幼い少女に与えているのだ。
そんな中、成長し、自分を客観的に見られるようになったトランス少女は自分を見つめ直して「私は男なんかじゃなかった」ことに気づく。だが、既に子宮は委縮し、胸もなくなってしまって完全な女性には戻れなくなっている。自分と親にテストステロンや手術を勧めた医師や病院を訴えるという事例も出てきている。専門家であるはずの人々が一方の可能性しか提示せず、将来子供を産めるかもわからない、産めたとしても自分で授乳もすることができない体になり、不可逆的ダメージを与えたのはとてつもない大きな罪だ。ぜひ、この動画を観て欲しい。
無制限な「ジェンダー・アファーメーション(性自認の確認と肯定)」の裏側
まだ10代前半でSNSの影響で自分をトランスだと思い込み、”専門家”らによってどんどんと性別移行の道筋を作られて乳房切除手術を受け、ホルモン療法を受けたが結局自分は男になりたかったわけではないと気づいて、脱トランスした女性の体験を話した動画だ。上記リンク先の動画の概要欄にフル視聴はこちらというURLがあり、そこからアクセスすると無料で視聴できる(2024年4月8日現在)。
クロエさんのもう1つの動画:公聴会での証言