あじゃみんのブログ

美味しいものや、経営する雑貨店のこと、女性の心身の健康について、その他時事ネタなど好き勝手に書いているブログです。

武田先生へのファクトチェック その2 武田先生に代わって調べてみた。

その1をお読みいただいてからでないと、わからないと思うのでよろしくお願いします。なお、今回の内容は、武田発言について考察するということではなく、発言の内容自体がどこから来て、本当なのかどうかということを調べた結果なので、この内容が武田発言の裏付けになるとかそんなことはわかりませんし、この内容自体が武田発言の内容と一致しているかどうかも分かりませんので、その辺はご了承ください。

あくまで、ホントのところ、どうなの?って思って調べた結果を書くという意味です。

つまり、私のような素人でも、この「ノーベル賞受賞者が言った」という発言の内容、もしくは内容に沿った発言の根拠にたどり着けるのかという検証です。

ノーベル賞受賞者の発言内容を検証する

さて、武田先生が引用された「ノーベル賞を取った人がウイルスを特定するのは相応しくないと言っている」という、大元はどこから来たのでしょうか。

ファクトチェックの立岩氏が「何を根拠に言っているのか」というので、調べるのは難しいのかなぁ~と思ったのですが、拍子抜けするほど簡単でした。

私のような化学もなにも分からない文系脳の人間でも、ネットでググれば出てくるようなことをなぜ突っ込んできたのか意味不明です。

さすがにこれは武田先生が怒るのも無理はないですね(笑)

(この検査で)ウイルスを特定するのは相応しくないと言ったとされる「ノーベル賞受賞者」というのは、文字通り、このPCR法(ポリメラーゼ連鎖反応:polymerase chain reaction)を開発したことで、1993年にノーベル化学賞を受賞した、キャリー・バンクス・マリス(Kary Banks Mullis, 1944年12月28日 - 2019年8月7日)博士のことのようです。このマリス博士についてググっただけでも、ああ、そういうことなのね・・・と分かるようなことを調べたけど分からなかったみたいに聞いてくるって、ファクトチェックなんて言ってる割にレベル低いよね(笑)

さて、このマリス博士は、このPCR法の開発で広い分野においての技術向上に影響を与えました。この化学音痴の私でさえも、ノーベル賞にふさわしいことは分かりました。

結構、みんなが言っている

このマリス博士が「ウイルスを特定するのに相応しくない」と言っていたというのは、どこから来ているのでしょうか。実は、武田先生のみならず、かなり多くの人が「マリスがこういっているから、PCR検査をCOVID-19 に使うのはよろしくない」的なことを言っているようです。

面白いのは、あのロイターもこの件について「ファクトチェック」をしていました。

タイトルを見て、思わず笑ってしまった。

Fact check: Inventor of method used to test for COVID-19 didn’t say it can’t be used in virus detection(ファクトチェック: COVID-19に使用しているPCR法の開発者は、ウイルスの検出に使用できないとは言っていません)

残念ながら、ロイターの日本版にはなかった(というか見つからなかった)のですが、この記事によれば、かなり多くの人が武田先生と同じようなことで、新型コロナウイルスの検査にこのPCR法はふさわしくないと言っているようなのです。

”この内容の投稿はSNS利用者によって1000回以上投稿、シェアされている”とのことで、その投稿では、”このPCR検査では感染症のウイルスを検出することはできない”としているが、これはマリス博士の過去の発言を誤用しているのだと書いています。

”COVID-19の検査は詐欺か?"という言葉とともにマリス博士の言葉が引用されている。しかし、これは元々1996年の12月にJohn Lauritsenが書いたHIVとAIDSについての記事であり、COVID-19のことではない。

However, the quote is actually from an article written by John Lauritsen in December 1996 about HIV and AIDS, not COVID-19.

そのJohn Lauritsenの「HAS PROVINCETOWN BECOME PROTEASE TOWN?」の中にマリス博士がHIVがAIDSの原因ではないという根拠を話している箇所があるのですが(これもビックリね)、

Kary Mullis, who won the Nobel Prize in Science for inventing the PCR, is thoroughly convinced that HIV is not the cause of "AIDS". With regard to the viral load tests, which attempt to use PCR for counting viruses, Mullis has stated: "Quantitative PCR is an oxymoron." PCR is intended to identify substances qualitatively, but by its very nature is unsuited for estimating numbers. Although there is a common misimpression that the viral load tests actually count the number of viruses in the blood, these tests cannot detect free, infectious viruses at all; they can only detect proteins that are believed, in some cases wrongly, to be unique to HIV. The tests can detect genetic sequences of viruses, but not viruses themselves.

赤字は私が付けたのですが、多くの人がこの部分を引用して「だからPCR検査なんてしてもダメ」ということを言っているようです。これはなんと書いてあるかというと、「このテスト(注:PCR検査のこと)は、ウイルスの遺伝子配列を検出することはできるが、遺伝子そのものを検出することはできない」というものです。だから今やっているHIVの検査なんて間違っていて、検査の結果を以てHIVがAIDSの原因だとはいえないみたいなことを言ったという内容です(だいぶ端折ってるからちょっと違うかもw)。

エイズのことについて言った時の話だから、新型コロナウイルスの検査にはPCR法は有効なんだというのも変な理屈(ロイターの結論はこれです)ですが、とにかく、多くの人が引用している内容はマリス博士のこの発言だというのは分かりました。

ただし、武田先生の発言がここから来ているかというと、それはちょっと分かりません。実を言うと、PCR法は相応しくないという人は大勢いますし、武田先生と「同じような」解説をされている方もいらっしゃる。

武田先生もそうですが、昨年亡くなったマリス博士は、「PCR検査はウイルスの検査には使うなといって謎の死を遂げた」という陰謀論ぽいこともおっしゃっているのですが、そのことを裏付けるような記事等はまったく見つかりませんでした。

こういうのを話す時は、やっぱり元の情報も欲しいとは思いました。別に虎ノ門ニュースでという意味ではなく、その他の媒体で色々お話されているので、その時間は自由にできるのであれば、なぜそういうことが言われているのかという元ネタ的なものもお話いただきたいという意味です。

分かったこと・分からなかったこと

分かったこと:ノーベル化学賞受賞者のマリス博士の発言を引用して、PCR法でこのウイルスの検査をするのは相応しくないと言っている人は世界にたくさんいる。

分からなかったこと:マリス博士の死が「謎」であるかどうかや、死ぬ前(すぐ前かどうかは分からない)に「PCR検査をウイルスの検出に使ってはならない」と発言したということを裏付ける内容の記事などには辿り着けず不明となった。