こまりんさんから、最近の体験を送っていただきました。
怖いというより、ちょっと悲しいお話です。
こまりんさんは、自営業、従業員を抱える経営者です。
パンデミック以前は、普通にオフィスを構えていましたが、コロナ禍の今、テレワークに主軸を移してお仕事をされています。
これは、そんなテレワーク時代の出来事になります。
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コロナ禍の中で、私の会社も今までのオフィスを閉鎖し、基本的にテレワークで仕事をするようになり、いわゆるサテライトオフィスと契約することになり、従業員にはオフィスとサテライトオフィスの差額でWifiの代金や電気代を支給する方式に変えました。
取引先や顧客との打ち合わせもリモートとなり、中にはご自宅から参加する方も多くなっています。TeamsやZoomなど誰でも使えてどこにいても打ち合わせすることが出来る時代ですから。
ある時、Teamsを使って、8名で打ち合わせをしていた時のことです。
Sさんはご自宅から参加していたのですが、工事の進捗について報告していた時のこと。
「え~、今は全体の65%ほどの進捗で、予定より15%ほど遅れています」
そんなことを話していた時、お子さんがひょい!と顔を出しました。
その日は物件のオーナーは不参加の受注側の打ち合わせだったので、みんなその子を見て笑顔になりました。
お子さんの走る音が聞こえ、Sさんの背中によじ登ったりとちょっとSさん・・・という感じでしたが、Sさんは平然と報告を続けるので、みんな笑いをこらえて聞いていました。
打ち合わせが終わり、雰囲気的には「子供、可愛かったねぇ」みたいな感じで、特に誰も注意をしたりなどはありませんでした。
でも、私には分かっていたんです。
その子、この世の者ではありませんでした。
目に白い部分がないのです。
全部真っ黒。
他の人は気づかなかったようですが、いくらなんでも仕事中に走り回ったり、背中によじ登ったりして注意しない親がいるでしょうか。
「みんな鈍感だなぁ」
まぁ、見える私だからそう思うのかも知れませんが。
2週間後。
次の打ち合わせの日が来ました。
やはり、Sさんの家からは子供の笑い声や走り回る足音が聞こえ、画面を奥様だろうと思われる女性が横切って行きました。
この日は、オーナーさんが参加する打ち合わせだったので、いつものように微笑ましいという訳にはいきません。
ある参加者が「Sさん、大事な打合せだから静かなところで話してくれないか?ご家族仲が良いのは結構だから」と注意しました。
Sさんは「はっ?」と驚いたような顔をして「僕は独身です。1人暮らしですよ。家には誰もいません」というのです。
打ち合わせに参加している全員が見えているので、「なに言ってるんだ、ご家族が映ってるよ、声も聞こえるし。大丈夫?」と同じ人が声を掛けました。
「いえ、どういうことでしょう。まったくわからないです」
Sさんが答えた次の瞬間、全員が、
「危ない!!」
と叫びました。
子供が、Sさんの背後に映っているベランダの柵を乗り越えて落ちていったのです。
参加者全員が言葉を失い、長い沈黙が続きました。
「Sさん、お子さんを事故で亡くされたんですね。ずっとお休みされていましたものね」と私が言うと、Sさんはがっくりと肩を落とし、
「そうです。娘が誤って転落して・・・。妻も自分を責めて、後を追いました」
泣きながら話してくれました。
「娘さん、お父さんのことが大好きで、今も大好きなままです。奥様も支えてくれています。供養して安心させてあげてください」
そう言うと、Sさんは泣きながら「はい、僕にも見えたら良かったのに」と自分だけに見えない娘と妻を思っているようでした。
みんな黙って泣いていました。
「ずっと一緒にいるから、Sさんを心配しているんだな。あまり心配かけちゃいけないぞ」と参加しているオーナーさんからも温かい言葉をいただきました。
それからというもの、子供と奥様の姿は・・・というのは甘いです。
ベランダの手すりの間からじ~~~っとこちらを見つめる子供の姿がありました。
台所からなのか、トントンと包丁で何かを刻む音が聞こえたり、水が流れる音がしたり。
本当に一人で、何も見えていない聞こえていないのが不思議でした。
リモート会議では霊感に関係なく、全員が見えたので自分だけではないことが安心できました。
それ以来、私は最初のあいさつ以後は画面を消したり、背景画像を使うようにしています。。。