あじゃみんのブログ

美味しいものや、経営する雑貨店のこと、女性の心身の健康について、その他時事ネタなど好き勝手に書いているブログです。

学校の階段

皆様、暑い夏、いかがお過ごしでしょうか。

私はすっかり夏バテ気味で、毎日しんどい感じで仕事をしています。

家では夜ブログを書くくらいしか出来ず、創作の材料を目の前にしてもまったく動けない情けない状態です。

さて、常連の方はお待ちかねのこまりんさんシリーズ。

カテゴリーは、怖い話ですが、今回から数回続くお話は、「不思議な話」です。

※こまりんさんシリーズは、いただいた文章の内容を変えず、プライバシーその他に配慮した形でわたくし、あじゃみんがリライトしたものを掲載しています。

第1回 小学校の階段

先日、夏休みで帰省してきていた小学校時代の幼馴染Kちゃんと久しぶりに会って話をする機会がありました。

私は今、母の介護をしている関係で、実家に寝泊りしています。その地元の自治会の行事があったので出席したところ、偶然Kちゃんと再会。

なつかしさに話も盛り上がりました。

小学校では親友だったKちゃんなので、ふたりの逸話もたくさんあります。

Kちゃんとは、いつも一緒だったのですが、なぜか不思議なことが色々と起きました。

すっかり記憶のかなたでしたが、Kちゃんとの再会で思い出したことがいくつかあるので、そのことをお話ししたいと思います。

***

私とKちゃんは自宅が同じ地区の幼馴染です。小学校1年からずっと同じクラスで仲良し2人組!という感じでした。
登校班こそ違いましたが、それ以外はいつも一緒でした。

ふたりが小学校1年生のとき、夏休みも終わって2学期が始まってわりとすぐに台風がやってきました。

日本の夏の終わりは台風というお決まりのコースでしたが、その日は、ちょうど関東に上陸・・ということで、学校は午後の授業は取りやめて、給食後に登校班ごとに帰宅することになりました。
遠くの地区から先に出発し、わたしは学校から割と近い地区だったので、後の方の出発になりました。
当時は生徒が多く、1学年9クラスありました。

6学年なので教室も多いのは当たり前ですが・・・。
そんな全校生徒が全員、体育館に集まると大変なことになるので、そういった配慮も必要だったのかもしれません。

私もKちゃんも自分の登校班の地区の名前が呼ばれるまで教室に待機していました。
放送がかかると、自分の1年生の教室から体育館に移動して集合し、そこから班長さん達と帰ることになります。
そのため、下駄箱に寄って靴を持っていかなければなりません。

1年生の教室は2階にあり、1階の出入り口の下駄箱に寄って体育館へという流れでしたが、下駄箱から体育館までは、そんなに距離はありませんでした。
放送で地区の名前が呼ばれたときは、すでに他の教室には生徒が残っておらず、台風の風と雨の音が校舎の中に響いていました。

その中でも家が近かったわたしとKちゃんは、最後の最後に班名を呼ばれることになりました。
やっとふたりの班名が呼ばれたので、最後の最後でわたしは、Kちゃんと二人で教室を出発しました。
ちなみに、わたしたちの担任の先生は、初めて担任を持つので張り切っていた若い女性教諭でしたが、このとき体育館で出発する班ごとの点呼や帰宅する道の注意点を生徒たちに説明していて教室にはいませんでした。
子供の頃って、台風になぜかワクワクする気持ちもして、わたしとKちゃんは笑顔で一緒に教室を出ました。

教室を出て、左に数メートル進むと毎日使っている階段、そこを降りると正面に下駄箱があるので、1年生とはいえ、迷うような要素はどこにもありません。

「・・・・えっ!」
「なんで・・・?」

教室を出て左に歩き始めたふたりの前には、ものすごく長く感じる廊下がずーっとまっすぐ続いていて、子供2人には遠くまで続く廊下しか見えていません。

階段がどこにもないのです。

「階段は?」
「どこまで廊下なの?」

変だなぁ~と思いながらも、その廊下以外に通るところはないので、そのまま歩いていきました。その時は気にしていませんでしたが、廊下にはわたしたちふたりしかいなかったのも不思議でした。

本来は、階段までほんの数メートルのことなので、本当に「迷う」という要素などないのです。

「あった!・・・えっ?」

しばらく歩いてやっと階段が目の前に現れたと思ったら、1階に下りるはずの階段の場所は壁になっており、上に上がる階段しかありませんでした。
2人は階段の前で呆然としました。

でも、そこで立っていても仕方がないので、とりあえず上ってみようということになり、Kちゃんと手をつないで恐る恐る階段を上ってみました。

何階分か上がったところで気づいたのですが、その階段、上ってきたのに出る廊下の表示は2階のままなんです。
「なんで?」
この時、1年生の2人はすでに半べそ状態でした。手をつないでいないほうの手で目をこすって涙をふいていました。

しかし、なぜか階段を上らないと・・・という気持ちで上って行きました。

何度か上るうちにそれまでは2階の表示のある廊下に出られたのに、やがて廊下すらない階段のみになりました。

疲れ切った2人は、とうとう力尽きて階段に座り込みました。
いやな感じの汗が流れ、ランドセルを肩から降ろしました。
そして2人で思いっきりワンワンと大泣きしました。

こんなに大声が出るのかというくらいの声で泣いていたので、その声に気づいたのか、バタバタと下から足音がして、先生方が上ってきたのです。

「見つけた!!この2人ですね!!大丈夫か~?けがは~?!」
「どうしたの??こんなところで~!!」
先生たちは口々に言って私たちに安心した笑顔を見せていました。

どうやら、ずっとわたしたちを探していたようでした。
一緒にいた男性の教頭先生は、担任の若い先生に
「最後の生徒さんは教室から体育館まで必ず先生が付き添いをしてくださいと、あれほどお願いしているでしょ!」

と少しきつく言い、担任の先生は、
「すみません、体育館の方が忙しくて、教室に戻れなくて」
と謝っていました。

担任の先生は全身、びしょぬれのうえに涙で化粧も落ちていました。
「生徒がいなくなったら必ず、ここともう1か所を先に確認してください。外を探すのはそのあとですから。」
と教頭先生はすでに経験済のような口調でした。
担任は、「はい、すみません。2人とも、登校班の人たちは先に帰ったから、先生がおうちまで送るね。本当に無事に見つかって良かった・・」と泣きながら優しく抱きしめてくれました。

「先生~!階段がね、なくなってたの~!」
「廊下がずっと続いててね・・ずっと歩いたの」
と言いながら泣きつくとハテナ?という顔をした担任の先生でしたが、
教頭先生は、「君たちがね、あまりにも純粋で可愛かったから、きっと精霊さんが一緒に遊ぼうとしたんだよ」と答えてくれました。
「だからね、もう大丈夫、ちっとも怖くないし、大人になればこういうことはないからね。」
と私とKちゃんの頭を手でポンポンと優しく叩きました。

後でわかったことですが、先生たちが見つけてくれた時には、すでに2時間が経っていたようです。

そして、わたしたちがいたのは、1年生の教室から見ると隣にある、まったく別の建物の屋上に通じる階段でした。

***

それからウン十年の歳月が流れ、いい大人になったわたしたち。

そうそう道に迷うことはなくなりました。

あのときの階段がなくなって廊下だけが続いている現象って、「子供の錯覚」程度に思っていたのですが、過ぎた時間や発見された場所を考えると「錯覚」程度のものではなかったと思います。
そもそも、1年生の教室は体育館に直接つながる建物の2階でした。そこから別の建物に移動するには一旦、渡り廊下(1階)に出なければなりません。そこから別棟の教室が並ぶ廊下を通ってしか、発見された階段には行けないのです。
外は大雨の台風。。。渡り廊下に出た時点でびしょ濡れになりますよね。

わたしたちは外にも出ていないし、雨に濡れてもいませんでした。

だから、わたしたちが発見されたのが別の建物の階段だったというのは、いったいどうしてそんなことになったのか今でも全然わからないのです。そもそも階段は上りしかなく、下の階にはいかれなかったので、渡り廊下に出るという状況にはなりませんでした。

その別棟は高学年が使っている建物で、出入り口や下駄箱も高学年はそちらを使っていました。
また、高学年しか使わない調理実習室や理科実験室もこの別棟に教室がありました。
そのため1年生がそんなところを知っているわけがないのです。

子供の錯覚程度に思っていましたが、Kちゃんに「あの時は本当に迷ったよねぇ、なんだったんだろう、不思議だったね」と言われると確かに「不思議」と思います。
でも、教頭先生は知っていたのではないでしょうか。

だから、私たちを発見した時「生徒がいなくなったら必ず、ここともう1か所を先に確認してください」と他の先生方におっしゃったのでしょう。
私たちが卒業した後も、小学校はまだあります。子供たちの使っている教室も少なくなりましたが、その後は迷子になる生徒はちゃんと発見されているでしょうか。

兄(注:こまりんさんのお兄さんは家族の中でも最強の霊感の持ち主です)も同じ小学校出身ですが、「学校あるある話」の1つに過ぎないとのことでした。
兄が言うには、
「管理がしっかりしていて屋上への扉の鍵がしっかりかかっていたから、階段で発見されたんだろうな。これがもし屋上に行けたなら・・・どうなるかわかるだろう?」と。
「台風で子供が屋上になんて出られないよ。風で扉なんて開かないでしょ」
と言うと
「じゃあ、迷子になっている間、お前たち、雨と風の音がどのくらい聞こえてた?子供には怖いくらい校舎内に響いただろ?」
と聞かれました。
「え?音?・・・って、そういえば~~~」
そういえば、教室を出てから、まったく記憶していなんです。

風のゴーゴーという音がすごかったはずなのに。。。
「聞こえてないんじゃないのか?そういう時は・・相手の術中にどっぷりはまっているんだから」
「聞こえてなかったかも・・そもそもそういう記憶がない・・」
「迷うってそういうこと。覚えておけよ~。音が聞こえなくなったら、普通の状態じゃないところにいるってことだな~」と。
なるほど気を付けます~という感じでした。
兄は、「本当に小さいころからチョロチョロしていてそういうのに捉まりやすいよな~」とブツブツとつぶやいていました。

幽霊こそ見なかったものの、一体何だったのかはいまだにわかりません。
本当に廊下がどこまでも長く先に続き、階段はなく、片側はずっと教室が続き・・・そんな光景を今でも時々夢にみることがあります。

不思議な不思議な小学校1年生の体験でした。