私はNHKの受信料を払っていません。
それは、テレビを持っていないからです。
ワンセグ裁判もありましたけど、そもそもワンセグの付いたスマホも持っていないので、正真正銘支払い義務はないのです。
「テレビを持っていないんです」
そういう時のあの疑わしそうな目。
でも、嘘はついていないので、ひるむことはありません。
そんなNHK(正確には委託会社の人)は、ネット社会でさらされた非道対応で問題となったからか、最近来る時は気持ち悪いくらいに愛想よくやってきます。
だいたい半年に1回来るのですが、前回は夜8時頃(9時過ぎると違法なので)やってきて「テレビの信号が送られているのが確認できたので来たのですが」というので、「このマンションケーブルテレビだけど、信号ってそれじゃないですか。でもうちはテレビ
がないので」そういうと、「スマートフォンでワンセグは」と聞くので「付いてません。見ますか?」そう言ってスマホを差し出しました。
「見ますか?」
「・・・本当にないですね。アプリを削除したとかはないですか?」とあくまでも食い下がってくるので「そんなことしてませんよ」呆れたように言うと肩を落として帰っていきました。
それから半年。
昨日、自宅に戻ったのは8時過ぎです。
階段を上がっていた時、2階の廊下で誰かが住人と話している声が聞こえてきました。
『珍しいな、夜に廊下で話し声』
特に顔を向けることなく、3階の自分の部屋に向かいました。
しばらくすると、チャイムの音が・・・。
ピンポーン!
『こんな時間に誰??』
ゆっくり歩いていくとピンポンピンポン!と鳴らします。
『うるさーい』
こんな辺鄙なところまで遊びに来る友人はいないので、私の部屋にやってくるのは宅配業者か新聞の勧誘かNHKしかいません。
「どちらさまですか?」
ドア越しに聞くと、
「NHKのXXXですが」
快活な感じの声が聞こえてきました。
『おー、久しぶり』
ドアを開けると、開くと思っていなかったのかびっくりした顔で「あっ、ごっ、ご対応ありがとうございます!」と若いイケメンくんが笑顔で言いました。
イケメンだけど、好みじゃないので例え30歳若くてもなんとも思わなかっただろうけど。
「こんばんは!わたくしNHKから委託を受けているエヌリンクスのXXXです」
身分証を示してにっこり笑います。
「はい・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「じっ、実はですね、今NHKから委託を受けて、テレビの受信状況を確認させていただいているんです。皆さんに快適な状態で映像を見ていただくために近くに電波塔を立てているのですが、映りはいかがですか?」
『夜の8時に電波の入り具合の調査』
そう思いつつも、毎回繰り返すあの言葉をまた言ってみました。
「私、テレビ持ってないので」
「えっ!」
大げさにのけぞるイケメンくん。
とうとう寸劇までするようになったらしい。
「あーーーーそうなんですねーーーー。だからわからないと。。。そうですか。はぁ~、じゃあ、あれですね、つなげないで置いてある感じですかね?」
最後にさらっとした口調で付け足しましたよ、“(テレビを)置いてある”って。
テレビを持っているだけで受信料支払いの義務がありますからね。
「いえ、テレビ自体持ってないんです。10年以上前に捨てちゃって、テレビのない生活ですから」
抑揚のない声で言うと、「そっ、そうですかー。じゃあ、あれですか?ワンセグとかで見る感じですかね?」とあくまで私がテレビを観ている設定にしたいらしく言うので、「いえ、スマホにワンセグ付いてないので」と冷たく言いました。
それにワンセグに支払い義務なしって裁判の結果出たじゃん。
「ふぅんんん」
もうネタがないらしく、軽く鼻から息を吐くと、イケメンくんは諦めたのか、またにっこり笑って「わかりました!ありがとうございました!」と言って帰っていきました。
「新しいなぁ~」
思いもかけない小芝居に、ちょっと感心した夜でした。