ようやく、スーパーに行ってもトイレットペーパーがいつも補充されるようになってきました。まだ個数制限は掛けられていますが、買う方も「あるんだよね」と落ち着いてきていることもあり、混乱の影は見当たりません。
トイレットペーパーの買い占め騒ぎは大昔にもありましたし、やっぱり生活必需品として「トイレットペーパーはないと困る」ものの筆頭かも知れないため、どうしても不安になったら買い占めたくなるのかも知れません。
だって、トイレに入って紙がないという状態って、ちょっと我慢できないですよね。
ウォシュレットがついていたとしても、乾燥機能付きはそこまで多くないでしょうから、やっぱり最後は紙なわけです。
今回の騒動がどこから始まったのかは調べていませんが、ツイッターか何かでトイレットペーパーがなくなるというデマが流され、それに飛びついた人達が買い占めに走ったと言われています。
面白いのは、これが日本だけではなく、各国でも同じように買い占めが起きたのですから、トイレットペーパーってなくてはならないものなんでしょうね。
まぁ、今だから笑える感じですけど、どこへ行っても1パックもない状況はかなり陰鬱な気分になりました。
目の前の情報に安易に飛びつくのは、SNSが充実してきた現代ならではですよね。
ちょっと考えて、ちょっと立ち止まって、自分で調べたら分かるはずですが、その手間をかける人はまったくいませんから、あっという間に広まってしまいます。
それで「そんなのデマじゃないの?」と冷静に判断できる人がいたとしても、実際に買い占められてしまう訳ですから、自分の分がなくなる!というので、自分も買いに走ってしまう・・・で、結局店は空っぽということになります。
その時点では、店側もそんなデマが流されたことはわからないので、いったいどうした?って感じなんでしょうけど、それもパニックに拍車をかけることになります。
また、分かってからも「コロナウイルスの関係で品薄状態が続いております。次回入荷は未定です」みたいな感じでしか書かないので、不安は増す一方です。
またテレビでも「在庫は十分にあります」と言いながら、映像として流すのは空になった棚の画像。
これでは、空の棚の方がインパクトがありますから、やっぱりないんだ!!となってしまうのも無理はありません。
店だって、メーカーには在庫が十分にあると分かれば、デマで買い占めが原因と分かるんですから、しっかりとその事実は掲示すべきです。あんたらがデマに乗せられて買い占めたから、発注してもすぐには来なくなってんねん!・・・・とは書けないのは分かりますが、品薄とばかり書くから、なぜ入らないんだとクレームを言ってくる客もいるわけですから、全国で買い占めが起きて、注文が殺到すると在庫はあっても、それが取り合いになるくらい言わないと。もちろん、丁寧な言葉でそれが治まればちゃんと入ってくるから、お待ちくださいでいいじゃないですか。
理由もあいまいにしか書かず、申し訳ございませんが、ご了承くださいなんて言っているから、いつもいつも人が殺到するなんてことになるんですよ。
ネガティブなことをポジティブに表現するのが本当に下手なんだと思いますね。
その言い方だと誤解を生むよねというのが多い気がします。
しかし、このデマってなんとかならないもんでしょうか。
人間心理というか、集団心理って暴走すると止められないんですよね。
よくこういうことが起こると引き合いに出されるのが「豊川信金事件」です。
古い話ですが、デマがどう広まって、人々がパニックに陥るかが面白いほどわかる事件でした。噂(デマ)の出どころはたった3人の女子高生。
豊川信用金庫に就職が決まっていた子をあとの二人が「信用金庫なんて危ないんじゃないの?」とからかったことで、言われた子が真に受けて親戚に「信用金庫って危ないの?」と聞いたことから、話が曲がりまくって伝わり、最後には「豊川信金が潰れる!」となって当時26億円もの現金が引き出される大騒ぎとなって、最後は日銀まで出てきてようやく静まったという事件です。
時系列でみて行きましょう。
昭和48年12月8日(土):女子高生3人がおしゃべりの中で豊川信金に就職する子に向かって「信用金庫なんて危ないんじゃないの?」とからかう。単に「強盗とかあるし、危ないのでは?」という意味(一説には、大手の銀行より経営が不安定という意味という説あり)だったが、真に受けた女子高生が家に帰って親戚に電話をし、「信用金庫って危ないの?」と聞いた。この時点で女子高生は、豊川信金とは言っていない。そう聞かれた親戚は、女子高生が豊川信金に就職することを知っていたため、「豊川信金が危ないのか?」と同信金本店の近所に住む別の親戚に確認の電話をする。
12月9日(日):そう聞かれた親戚は、行きつけの美容院のオーナーに「豊川信金が危ないらしい」と話した。
12月10日(月):美容院のオーナーは、今度は自分の親戚に「豊川信金が危ないらしい」と話したが、それが当時店に来ていたクリーニング店の店主の耳にも入ってしまい、店主は、自宅に戻って妻にその話をする。
12月11日(火):クリーニング店の妻が近所の奥さん連中にその話をしたことがきっかけで、豊川信用金庫が危ないと断定的な噂が広まることになった。この井戸端会議の内容が通りがかりの住民にも聞かれてしまい、噂はどんどん広まって行く。
12月13日(木):そんな時、そのクリーニング店に設置してある公衆電話を借りに来たガス屋の経営者が「豊川信用金庫で120万おろしてくれ」と妻に電話をした。彼はこの噂をまったく知らず、単に仕事で使う現金を下ろしてほしいという意味での電話だったが、それで「やっぱり潰れるんだ!」と勘違いしてしまったクリーニング店の妻が自分の家の預金180万円を急いでおろしに行った。実は、クリーニング店のオーナー夫妻は、何年か前に、ある信用金庫が倒産し、工面した出資金等がまったく戻らずに痛い目に遭っていたこともあり、その時のようなことが起きてはみんなが可愛そうだと善意でさらにこの話を広めてしまう。その中にアマチュア無線を趣味にしていた人がいたことから、この無線を使ってその話をしたことでより広範囲に広まってしまい、豊川信金に預金を下ろそうという人々が殺到してしまう。
12月14日(金)~17日(月):豊川信金は、倒産などしないと説明をしたが、その時に現金を下ろすなとは言えないため、迅速に処理するために端数は切り捨てることや利子の分は払えないとしたことから、「やっぱりおかしい」とますますパニックを呼んでしまい、メディアも「デマに踊らされて貸付騒ぎ」などと報じたが事態は一向に収まらず、結局日銀が現金を手当した後、豊川信金は潰れることはないとの会見をして、やっと事態は収束して行った。また、警察がデマの出どころを調査し、上記の経緯を説明した(女子高生に悪意はまったくなかったことから、事件として立件されることはなかった)結局、引き出された現金は当時のお金で26億円にものぼったという。参考Wiki
※この話はTVで再現されたこともありますが、多少の内容違いがありました。
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とまぁ、こんな感じで、SNSなどなかった頃でもこのデマの広がるスピードは相当なものでした。携帯電話もなく、ただの口コミだけでこうなるのですから、デマというのは恐ろしいものです。過ぎてみれば「アホやなぁ」となる訳ですが、こうやって大勢の人に迷惑をかける行為になるわけですから、この女子高生のようなことがきっかけならまだしも、自分からデマを流すような人は取り締まる法律を作って欲しいですね。