公開当日に観ました。
これを狙ってというより、その日に用事があって都会に出たので「今日は封切りの日だ」と思い出して、帰りに渋谷のシネパレスに寄ったのです。
最近、変にネタバレの映画紹介ページが多く(書いている人も気づいていない体たらく)、あまり詳しく調べずに映画を観ているので、こんな映画だったんだというのが最初の印象。
第二次世界大戦が終結し、マッカーサーが日本に来た時から話が始まり、同行していた副官のボナ・フェラーズ准将がマッカーサーの命令で(連合国がいうところの)戦犯の逮捕と(昭和)天皇の戦争責任の有無について10日間で報告書を出せという無茶ぶりに対し、必死でそのレポートを完成させようとするというのがひとつの節で、もうひとつはボナ・フェラーズがアメリカで知り合い愛した女性、アヤを探すという、ハリウッドお得意のラブ・ストーリーとなっていました。
ドキュメンタリーではないので、戦争というものがもたらす悲劇について、やはりラブストーリー仕立てにしたというのは、幅広い層に観てもらうには良かったのではないでしょうか。
正直、この手の映像には、ちょっと食傷気味なんですけども、単に戦犯と天皇の戦争責任のみで話を作っても、暗くてどうにもやりきれない映画になってしまっていたと思うので、みんなで観ようハリウッド映画・・・としてはこれで良かったと思える作品でした。
観たい映画として紹介した時も書きましたが、ごく少数ながらも、最近やっとアメリカで作る戦争映画で日本が関連してくる場合「日本側の視点」というのも織り込んで制作されるようになりました。
この映画は、「陛下をお救いなさいませ」という日本人によるノンフィクションがベースになっているため、話の進行自体はスムーズに観ていられます。
それになぜ日本が戦争に突入したのかという部分にしても、世界中でずっと行われてきた戦争・戦闘行為は「犯罪」にはならず、この戦争に負けた日本だけが戦勝国に裁判にかけられて犯罪者となるのかについて述べる部分は、今までにない場面だったのではと思います。
結局、史実は史実として「天皇の戦争責任を問うた場合のリスク」が重んじられ、昭和天皇の戦争責任が追及されることはありませんでした。
これには、日本人でも異論がある人は大勢いますが、フェラーズのレポートがきっかけとなって回避されたリスクを考えると、その選択は妥当だったと思われます。
今ではなく、あの時に陛下を退位させたり、戦争責任有として戦犯などにしてしまったら、今の日本はなかったと言っても過言ではないでしょう。
(もちろん、今でもあり得ませんが)
そうはいっても、この映画を観た欧米人が日本の精神性や宗教観、天皇という存在などを理解できるとは到底思えませんが、このような映画を欧米人が撮るという意味は大きいと思いました。
蛇足ですが、日本の俳優陣で英語が一番上手いなと思ったのは、西田敏行さんでした(笑)