毎年、冬になるとなぜか観たくなる映画は、アガサ・クリスティー原作の「オリエント急行殺人事件」(Murder on the Orient Express)です。
1974年のイギリス製作の映画で、エルキュール・ポアロを演じるのは、アルバート・フィニー。
なんとも濃い感じの、毒のあるポアロに仕上がっています。
余談ですが、この映画に出た頃は、フィニー氏はまだ38歳。
みごとな化けっぷりというか、この人が2000年に公開された「エリン・ブロコビッチ」の弁護士役だと知った時には、ひっくり返りそうになりました。
確かに、演技を見れば「そうか~」と納得ですが、どちらも何度も観ているのに、全然同じ人だと気づきませんでした。
俳優ってのは、すごいもんです。
テレビのデビット・スーシェの方が見慣れている人も多いと思いますが、このアルバート・ポアロはインパクトが大きかったので、私はこっちの方が「ポアロ」って感じです。
ローレン・バコール、イングリット・バーグマン、サー・ジョン・ギールガット、ショーン・コネリーなど豪華な顔ぶれで、イギリス映画ではありますが、アカデミー賞で6部門ノミネート、そしてイングリット・バーグマンが助演女優賞を獲得しました。
雪深いヨーロッパを走るオリエント急行の1等車の中で起きた殺人。
何度も刺された傷が、恨みの深さを物語ります。
殺人が向こうから寄ってくるのか、偶然この車両に乗り合わせた名探偵エルキュール・ポアロの灰色の脳細胞が、事件の真相を暴いていきます。
いかにもといった感じの設定で、本で読んだ時もドキドキしましたが、その世界を見事に映画化した作品です。
原作が映画として素晴らしい仕上がりになっているというのは、残念ながらあまりないように思いますが、この作品は高いレベルで完成しています。
寒い冬の夜に、コーヒーでも飲みながら、観たい映画です。