退院して病気自体は治りましたけど、なんだか気分が今一つ晴れませんでした。
帰宅して鏡を見た時、あまりの“痛み具合”に茫然。
ブスなのは自覚があるし、若い頃から美とは無縁だとはいえ、何も好き好んで“汚く”なりたいわけではないので、髪はボサボサで白髪は目立つし、お肌はカサカサ、やつれまくっている顔を見て落ち込みました。
こんな状態で人と話していたと思うと、さらに暗くなります。
それからお肌のお手入れをして過ごし、白髪染めをしていたのですが、髪も痛んでいることだし切っちまおう!と美容院に行ってきました。
私の髪はお尻のあたりまで長いのですが、見てもらうと相当いたんでいるというので、20cmくらい切ってもらうことにしました。
その昔、やはり同じくらいの長さの髪でしたが、ある日「いい加減、飽きた」とすっぱり切ろうと決めて、個人がやっている美容室に行きました。
50代くらいの男性美容師のお店でした。
私が「耳の下くらいまで切ってください」というと、「えっ?いいんですか?」と驚かれたのですが、イメチェンだ!と思っていたから中途半端に切ってもしょうがないので、「はい、すっぱりお願いします」と言って切ってもらったのです。
美容師が切りながら、私の耳元に顔を近づけて「何かあったんですか?」と聞くので、どういう意味だろう?と考えたら、そういえば「失恋したら髪を切る」とかいうのがあるんだったと、自分には無縁の可愛い習慣に笑ってしまいました。
「いいえ、なーんにも。ただ飽きただけです」
あまりにおかしくて大笑いしてしまいました。
人並みに失恋したことだってありましたけど、いちいち髪を切ろうなんて考えたことなかったもので(笑)
美容師も笑っていましたっけ。
これは20代の時の話です。
今はもう、何cm切ろうがそんなことを聞かれることはなくなりました。
大人になるって、こういうことなんですかね。
髪を切ってすっきりはしましたけど、なんだかまだちょっとメランコリックな感じがするのは、どうしてなんでしょうか。