「あじゃみんさーん、あじゃみんさーん」
遠くから自分を呼ぶ声が聞こえる。
なんとか目を開けると、看護師が大きな袋を抱えて目の前に立っていました。
「あじゃみんさーん!会社からお花が届いてますよー!」
そういうと、花に挿してあったメッセージカードを見せてくれました。
ぼんやりと事業部名が書いてあるのが見えます。
これが現実なのか夢なのか・・・そんな状態でしたが、とりあえず会釈をしておきました。
実際にできていたかはわかりませんが、自分ではしたつもりです。
「お部屋に置いておきますねー」
看護師はそう言って、去って行きました。
「・・・・・・・・・・・・」
その後、再び目の前が暗くなりました。
次に目覚めた時は、以前よりは意識がはっきりしていたかも知れません。
しかし、まだまだ朦朧としていて、目もしっかりとは開きませんでした。
人間これほどの汗が出るのかというほどすごい汗をかいて気持ち悪かったのもあり、下に敷いているバスタオルでちょっと顔を拭きました。
その時は、心電図のパットやらなにやら、体に何個も貼ってあり、酸素マスクをつけて寝ていました。
ピー・ピー
時折鳴る何かの音が心に響きます。
手術の際に、膀胱から直接尿を出す尿管カテーテルが挿入されるのですが、回復室にいる間は動けないからそのまま。
また、しばらく経って分かったことですが、右側のお腹の辺りから管が出て、何か血と液体のようなものも体から出ていたのです。
呼吸も少し苦しかったし、寝返りを打つこともできないので、朦朧としながらも「早く覚めないかなぁ」と祈るような気持ちでした。
何時だかわかりませんが、元彼も会いに来てくれて、あまり会話はできませんでしたが、ホッとしたのを覚えています。
その後も猛烈な寒気と高熱が交互に襲ってきて、『大丈夫なんだろうか?』と普段の自分にはない弱気な感情がわいてきたりして、なんだか悲しかったです。