あじゃみんのブログ

美味しいものや、経営する雑貨店のこと、女性の心身の健康について、その他時事ネタなど好き勝手に書いているブログです。

帰りのタクシーにて①

先日こまりんさんと行ったフォーシーズンズのアフタヌーンティー。

その帰り道、こまりんさんが遭遇したお話です。

カテゴリーは「怖い話」になっていますが、今回の話は軽い感じで読める話です。

(いつも1人称でリライトしております)

この子を助けて

あじゃみんさんと別れ、小田急線で最寄りのS駅まで乗って、バスが来るまでの間駅横にあるスーパーで買い物をしようと寄り道をしました。

いつもバスは遅れ気味で、今日もそうだろうと思っていたのですが、珍しくオンタイムで来たのか、私がバス停に急いで行った時は、もうバスが出て行ってしまった後でした。

「こんな日に限って時間通りとかやめてよ」

まぁ、遅れた私が悪いのですが、本当にいつもは時間通りに来るとかないんですよね。

仕方なくタクシーで帰ろうとタクシー乗り場まで行くと、土曜日の18時過ぎという時間にも関わらず誰も並んでいなかったので、良かったすぐ乗れると一番前のタクシーに乗ろうとした時のこと。

「ちょっと!あなた!その子を助けてあげてよ」

といつの間にかおばあさんが私の横に立ち、ちょっと怖い顔でそう言ったのです。

『あれ?誰も並んでいなかったと思うけど・・・』

そう思ったものの、そのおばあさんが私に言っているのか、そのタクシーの運転手さんに言っているのかは分からず、とりあえず先に並んでいたのかなと思って、2番目のタクシーに向かいました。

2番目のタクシーのドアが開いたのですが、私が乗ろうとしたら、運転手さんがこちらを向いて「お客さん、順番なんで、前のに乗ってもらえますか」というのです。

『えっ?だって・・・・』

おばあさんが・・・といいかけて前のタクシーを見ると、さっき怖い顔で何か言っていたおばあさんの姿はありませんでした。

慌てて周りを見ても、それらしき人はいません。

変だなぁ~と思いつつも、見間違いかと思って前に行き、そのタクシーに乗りました。

ただ、どうしても気になったので、「いま、こっちには女性のお客さんがいませんでしたか?」と運転手さんに聞いてしまいました。

運転手さんはちょっと笑いながら、「この仕事を長くやっていると色々あるんですよ」と言ったのです。

『ああ、この人は私と同じなんだ』

すぐにピンと来て、さっきのおばあさんがこの世の者ではないことがわかりました。

駅を出発してから、道混んでますねぇ・・・とか、その運転手さんと世間話をしていたのですが、タクシーがある病院の前を通りかかった時、同じ会社のタクシーがその病院から出てきました。

「あいつ!回送でお客さん乗せてるよ、会社から怒られるのに」

と言って、運転手さんは激しめにクラクションを鳴らしました。

「あの、追いかけていいですよ」

私は病院から出てきたタクシーを見ると、すぐに運転手さんにそう言いました。

「早く止めた方がいいと思います」

運転手さんは「そうですよね、すみませんメーター止めますね」と言ってメーターを止め、駅の方向に走って行ったそのタクシーを追いかけ始めました。

何度もクラクションをならし、無線で会社に連絡を入れてもらっても止まる気配がありません。
やっとのことで信号で停止したときに、隣の右折ラインに入り、車をなるべく近づけて窓を開けて叫びました。
「止まれよ!客乗せたら回送じゃないだろう!」と。
ところが声をかけられた相手は、なんだ?という顔をして、窓を開けて「誰も乗せてないよ!」と怒鳴り返してきました。

私はとっさに(こんな時のためにいつも持っている)塩を鞄から取り出して、そのタクシーの方に投げました。

「あっ!」

私のタクシーの運転手さんと一緒に思わず叫び声をあげたのは、塩をぶつけたと同時に後部座席にチェック柄のブラウスを着た若い女性が見えたからです。

その女性は、こちらを向くとニターっと笑って私たちを見つめました。

その様子を見て、その女性は亡くなったばかりだとわかりました。

目に白目の部分がなく、顔も濃い紫色、髪がボサボサ。しかもパジャマのままでした。

運転手さんと私は思わず顔を見合わせて頷きあっていました。

その女性は髪が長かったのですが、その髪がどんどん伸びるようにして、運転席の運転手に伸びていっているように見えました。

次の信号で回送タクシーの横につけると、運転手さんはまた「お前気をつけろよ!お母さんが心配してるぞ!」と叫んだのです。

『お母さん・・・て、まさかあのおばあさんが?』

そう、私が並んでいた人だと思ったあのおばあさんが、その回送タクシーの運転手さんのお母さんだったのです。

最初から、私が乗ったタクシーの運転手さんはそのことをわかっていたようでした。

私は再度後部座席めがけて塩を投げると、すーっとその霊は消えていきました。

なんとか霊は消えましたが、完全に祓えてはいなかったので、「今度お祓いさせるようにしますよ」と言っていました。

既に霊は消えていましたが、お線香の香りは私の方まで匂っていました。

②へ続く