あじゃみんのブログ

美味しいものや、経営する雑貨店のこと、女性の心身の健康について、その他時事ネタなど好き勝手に書いているブログです。

あいちトリエンナーレ、ただいま炎上中 その2 突然の中止と公権力の妨害?

昨日はいきなりの雨でした。
これからもうお盆休みという方も多いと思います。
派遣にそんな休みはないので、来週も仕事ですが、電車が空いていると嬉しいなぁ~。

あっさりと、そしていきなりの中止

さて、開催3日目でいきなり中止になった「表現の不自由展・その後」ですが、ジャーナリストの有本香さんの取材によれば、これには「中止を含む適切な処置」を申し入れていた河村名古屋市長も驚いていたのだそうです。
当然、臨時に実行委員会(不自由展の委員会ではなく、全体の方です)が招集され、そこでどうするかを話し合うと思っていたからです。
しかし、大村愛知県知事は、津田芸術監督(だけ?)と相談し、中止を判断し、いきなり発表してしまいました。


中止については、その時点で1400を超える批判などの電話やメール(のちには4000件以上)、また、「ガソリンを持っていく」とテロ予告のような内容の脅迫文も混ざっていたと言う事で、安心・安全を確保できないということを理由として説明しています。
まぁ、河村市長とすれば、今回の展示はこのイベントの内容にふさわしくないということを思っていたので、中止になったこと自体は良いと思っていたと思います。
それを受けての記者会見だったわけですから。

 

でも、大村知事は、この展示を中止を含む適切な処置を求めていた河村名古屋市長や、ツイッターや記者会見で批判をしていた吉村大阪府知事に噛みつきます。

大村知事は、スタッフ(役人)は別として、唯一行政の長としてこの展示内容を知っていた人ですが、それについては記者会見で、

展示の内容、作品の内容についてですよ、行政、とくにまぁ私が展示の内容について知った段階で、これダメだから、これやめろというのは、それは・・・言えませんよ。
それはやっぱり公権力がこれは良くてこれはダメ、ということにつながる恐れが非常に濃厚ですよね、それは。ですから、そういう意味では私は展示の内容、芸術ということについて、まぁ、監督とキュレーターと作者が話をしていただいて練っていくという中でですね、作っていただいて、まぁ、色んなその中で県の事務局、それであればこれということについてはということについては、意見は・・・今回のことについて相当意見は言わせていただきました。

と内容を事前に知っていたけれど、行政の側で「これはダメ」「これは良い」という選別をすることは公権力を使った妨害になる恐れがあるから、それは言えなかったという発言をしています。

また河村市長については、「今回の河村さんの発言は、私は憲法違反の疑いが極めて濃厚ではないか」と言っています。

憲法第二十一条は錦の御旗か

ここで大村知事が「憲法」と言っているのは、

第二十一条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

 

のことのようですが、その「表現の自由の保障」を以て、

公権力を持った方が「この内容は良い」「この内容は悪い」と言うのは、これは憲法21条の"検閲”と取られても仕方がないんじゃないでしょうか。”事後検閲"だってありますからね、これね。これまさに「やめろ」と言っているのだから。

 

と「税金を使った公のイベントで、日本を貶めるような内容の展示はふさわしくない(趣意)」という河村市長の発言を「検閲に相当する」と批判しました。

河村市長はこの発言に対し、「事後検閲ってなんですかそれ?」と呆れたように話しました。
「それじゃぁ、堂々とああいう展示はいいんだと言ってくださいよ」と内容については何一つ言及しない知事に反論し、また「最低限の規制・・・というと感じ悪いけど、必要でしょう」と話されています。


さすがにこの「事後検閲」という造語はやめていただきたいと聞いている私自身も思いました。
検閲というのは、公権力が事前に著作物なりをチェックして、それを全く世に出さないようにすることを言うのであって、今回のように既に展示をされた(世の中に出た)ものに批判が殺到して、また市長のような立場の人も反対をして中止としたことについては、どうやっても「検閲」には当たりませんし、事後検閲なんて言葉を勝手に作って批判するのはどうなのかと思いました。

それに本当に「表現の自由は保障されているから、公権力が何についても口出しをしてはいけない」のでしょうか。

あいちトリエンナーレは、なんでもありなのか?

そもそも、このあいちトリエンナーレは、表現の自由を徹底的に守るために「現代アートやそれに関連するパフォーマンスであれば、何をやってもOK」となっているのかを調べました。
まず、ホームページを見ると、概要の説明ページに「開催目的」というのが書いてあります。

  1. 新たな芸術の創造・発信により、世界の文化芸術の発展に貢献します。
  2. 現代芸術等の普及・教育により、文化芸術の日常生活への浸透を図ります。
  3. 文化芸術活動の活発化により、地域の魅力の向上を図ります。

つまり、この3つを目的として、イベントを開催しますよということです。


また、あいちトリエンナーレでは、開催ごとに1人の芸術監督を選出し、その監督が総合プロデューサーとして内容のテーマを決めるのをリードしたり、展示内容について監督することになっています。
歴代の監督も今回の津田氏も、この開催目的に沿った内容になるように、事前に愛知県から要望が出されているのです。

このことについては、あいちトリエンナーレの内容を説明するビデオで、今回の監督である津田大介氏が自ら説明しています。

 

「芸術監督に求められるもの」として、

①世界の文化芸術の発展に貢献

⇒ 国際的に注目が集まるような、質の高い作品群を展示すること

②文化芸術の日常生活への浸透

⇒ 地元の方々が「難しくてわからない」と敬遠してしまわないよう、親しみやすい作品も含めること

③地域の魅力の向上

⇒ あいちに元々備わっている魅力を掘り下げ、広くアピールすること

 

つまり、元々このイベントを開催するにあたっては、何をやっても良いということはなく、この開催目的に沿った内容にするよう要望が出されているわけで、歴代の芸術監督も自分で考えたテーマなどで構成するにしても、この目的から大きく逸脱したものにしてはならないことは芸術監督に就任する上で、この要請を「了承して」引き受けたと言えるのです。

ですから、愛知県という「公的機関」が主催と言える「公のイベント」で、明確な3つの目的と今回認証を受けている文化庁のbeyond2020の認証要件からも逸脱する内容であれば、公的権力云々の前に主催者である愛知県が「これはどう考えても開催目的とも合わないし、beyond2020の認証要件である、日本文化の魅力を発信する事業や活動というものにもそぐわないから、これは認められない」と言ったところで、単なる公権力の妨害と受け取られる恐れはまずないのではないでしょうか。

中止の理由として、十分成り立つものだと思います。