最恐女こまりんさんファンの皆様、お待たせいたしました!
超久しぶりにこまりんさんが近況を届けてくれました。
近況=怖い話ってのが面白いですが・・・いや、怖いか。
実を言うと、今回のお話はそんなに怖いというほどでもないのですが、
不思議だなぁ~と思わず首をかしげてしまったお話です。
それでは、どうぞ。
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これは、先日実家に帰った時に駅で見た光景です。
現在東京で暮らしている私は、神奈川県の実家に帰る時にはJR横浜線に乗って帰ります。
実家で週末を過ごし、日曜日は仕事があったので早朝に移動して早く仕事を終わらせ、早めに帰れば半日は休めるなと思い、かなり早い時間に実家を出ました。
足取りも軽く歩いて駅に向かっていましたが、もうすぐ駅というところでなんだか変な音が聞こえてきました。
「なんだろう?」
低く響くような変な音でしたが、近づくごとに大きくなってきて、駅のホームに向かう頃にはそれが非常ベルの音だということが分かりました。
『えー、もしかして事故?』
日曜日の早朝になんだよーと思いながらも、特に駅員が追い返したりする様子はなかったのでそのまま進むと、電車はホームの10mくらい手前に止まっていて、多くの男性駅員がホームの下にいて、誰か人を抱き上げようとしていました。
『良かった。轢かれたわけじゃなかったんだ』
これなら、人が上がって来られたらすぐ平常に戻るなとホッとしたのです。
よく見れば、ホームから落ちたと思われる人は少し小柄な中年の男性でした。
『・・・・・・・・・・・・?』
大人4~5人であれば、すぐに持ちあがりそうな小柄な人なのに、巨大な岩でも持っているように重そうな感じで、なかなか上がってきません。
「そーれ!」
何人もの人が掛け声をかけて、何度も弾みをつけて、ようやく上半身だけがホームに上がりました。
でも、そこからまたずり落ちそうになったりと、なぜ何人もの人がこんな小柄な男性を助けるのにこんなにも時間がかかるのだろうという感じでした。
変だなぁ~とさらに近づいて見ると、真っ青な顔の男性は朦朧しているようで、自分がどうなっているのか分からないようでした。
『だから余計重いのかなぁ・・・・・ひっ?!』
全体が見渡せる場所にきた私の目に、上半身だけホームにぶら下がっているような格好の男性の全身が見えたのですが、その腰や足に、無数の真っ白い腕が絡みついているのが見えました。
数えられないほど、変な絡み方で、なんだかうどんが下半身にびっしりと絡みついているみたいでした。
ぞっとしましたがなぜか目を逸らすことが出来ず、じっと見てしまいました。
その白い腕や指は、やっとのことでホームに上げられた男性からまったく離れる様子はありません。
見物していた人は私だけではないのですが、その表情からは白い腕の存在が見えていないことが分かりました。
『また私だけ・・・・?』
そう思って周りを見回すと、向いのホームに立っていた男性と目が合いました。
彼は私の方を見ると、黙ってうなずいたのです。
それで、彼にも見えているのが分かりました。
その後すぐ、手前で止まっていた電車がホームに入ってきたので乗り込みました。
しかし、落ちた男性から目を話すことが出来ず、電車の中からもずっと見ていたのですが、その男性は朦朧とした表情のままで、駅員から声がかけられてもそれに応える様子がありませんでした。
そんな状態なのに、なぜか這ってでもホームに向かおうとする男性を駅員が総がかりで留めていました。
『・・・・・・・・・・・・・・・』
男性を囲む駅員の向こうにいた男性の肩には、赤いマニキュアをした白い手が乗っていました。
しっかりと肩を掴んだその手は、まったく離れようとしていないようでした。
ホームには魔物がいると聞いたことがありますが、これがそうなのでしょうか・・・。
冬の日の早朝の出来事でした。