たびたび書いていますが、私の血管は採血や点滴の針を刺すのに不適合というか、破れやすいとかなんとか言われていました。
このため、採血する時などは結構失敗が多かったんですね。
で、その採血とかですが、余裕のある時は、まず若手がやってきます。
アイドルにでもなれるかも?ってくらい可愛い看護師さん(心でAKB(アキバ)ちゃんと呼んでいました)がいたのですが、ある日彼女が「あじゃみんさん、採血しますね」と言って私の腕にゴムを巻きました。
「はい」
短く返事をして腕を出すと、彼女は真剣な顔で「では、親指を中に入れてグッと握ってください」という決まり文句をいいました。
テキパキとやってくれているので、手をグーにしている以外やることのない私は、彼女の可愛い顔を見ながら、『こんなに可愛かったら、若い先生とか黙ってないわよねー』などとお見合い婆さながらなことを考え、様子を見守りました。
1度目・・・・失敗(痛い)
腕を変えて2度目・・・プチ・・・・「あっ」(えっ?)刺した針がグリっと動きました。
『痛い・・・』
「・・・あ~」
彼女は2度目の針を抜くと、小さく笑って「後でまた来ますね」と言いました。
「・・・・はい」
他になんともいえず返事だけすると彼女はうつむき加減に「すみません、2回も刺しちゃって」と言って去って行きました。
そういう看護師さんたちを観察していると、どうやらですが「2度トライしてダメだったら交代」することになっているようでした。
そして、若手が失敗した後にやってくる看護師は、中堅どころの先輩看護師です。
その日も3回目にしてようやく血を採ってもらいました。
「まぁ、私の腕で良かったら、練習なんていくらでもしてちょうだいよ」
なんて思いながら、痛さに耐えていたのです。
その後もそんな感じのことが何度かあったので、その話を復帰ランチの時にしたら、手術経験のあるTさんが「あじゃみんさん、それ腕だけで済んだから良かったですよ。私なんて両腕でもう刺すところがなくなっちゃって、ある朝先生が若いインターンみたいな男性5、6人を引き連れてきたから、珍しい症例だから見学なのかと思ってたら、私の足に点滴の針を刺すために、押さえつけ要員として連れて来られた人だったんです。先生が“お前ら、押さえろ!”とか言ったら、その若い子たちが私に覆いかぶさってきたんですけど、足に刺した針があまりに痛くて、それでもちょっと体が浮きました」と言ったのです。
「・・・・・・・・・・・・」
まさかそんなことは想像もしていなかったので、練習なんていくらでもやって頂戴とノー天気に思っていた自分が恐ろしくなりました。
『絶対嫌だ、そんな痛いの!』
もう、刺されないのでいいですが、私の腕にはまだまだくっきりと内出血の跡が何か所も残り、入院を知らない人が見たら暴力夫のDVに耐えている薄幸の妻かと思われそうですよ。
あっ、夫いないから大丈夫か。