終わりますといいつつ、なんだかんだ地震関連になっちゃうのですが(笑)
テレビなどのように、「危ない」ということを強調したい媒体や人々は別として、その他の専門家が冷静にコメントしているのがネットなどでも目立つようになりました。
色々な記事を検索すると、出荷停止になったほうれん草でも牛乳でも、手に入るなら食べる・飲むというのが結構あります。
私もその1人(尤も、何の影響力もありませんが)です。
以前、ちらりと書きましたが、「基準値」って何だろう?というのが今回の問題です。
基本的には「ある一定量をある一定期間食べ続けた場合」を仮定して、安全な数値を割り出すのですが、実はあんまり科学的根拠はありません。
なぜかというと「危ない」と言われているものをずっと食べ続けるというのは、通常有り得ないからです。
また、「キャベツ 毒性」で検索してみてください。
キャベツには、49もの毒性物質があるのを知ることができます。
その他の野菜も発がん性物質などが含まれるものが多く存在します。
では、なぜそんな物を日常「野菜をたくさん取りましょう」と言われて食べているのでしょうか。
ひとつ前の記事で「毒にも薬にもなる」と書きましたが、バランスよく食べれば、野菜の持つ良い面を体に取り入れられるし、発がん性物質が体内に入ってしまったとしても、同じ食品を大量に毎日食べ続けることなどほとんどないので、まったく問題ないわけです。
それに人間の体は「これいらない」とすべてではないにせよ、悪いものを体外に排出する機能があります。
今回のヨウ素だとか、放射線被爆に伴って心配されていますが、放射線の半減期は8日くらいで、ぐっと減っていくわけです。
だから、一時期付着してしまったとしても、時間が経つと害のない物質に変わったり、葉物野菜についたものは洗えばほとんど落とすことができるので、この事実を知っている人にとっては、いったいなぜ出荷停止になどするのか不思議でしょうがないと思います。
「念のため」
と、何かを説明する時に作業着を着た布袋様は連呼していますが、この念のためのせいで困った人がたくさん出てしまいました。
汚染した水にもこの基準値が適用され、人々は翻弄されました。
確かに危ないものは避けた方がいいですし、小さいお子さんをお持ちの方は非常に心配でしょうから、代替のお水などがある場合にはそれを使いたいというのは理解できます。
その行為自体は当然だと思います。
この基準値も「その濃度の物をずっと飲み続けた場合」というのが根拠なので、数日経ってぐっと数値が減り、わりとすぐに「大丈夫」なんて発表されて、本当にそうなのか却って疑り深くなってしまった人もいるのではないかと思います。
妊娠中の社員に対して水が配られた会社もあったとか。
今までだって、放射線は日常でも浴びる機会があるため、その基準を設けていますが、普段の生活だとその基準の基となるような浴び方はしないので、たぶん誰も問題になどしなかったと思います。
また日常でもより以上に放射線を浴びる機会が存在します。
今は歯医者でもレントゲン室があるところがありますが、診察台に寝かされてレントゲンを撮られるとき、先生や衛生士の人たちがプロテクターをしたり、どこか別の部屋に移動して、患者自身も鉛入りの布団みたいなプロテクターをかぶせられたりして、あれだって万が一を考えているのと、先生たちは何人もの患者さんを診るために何度も被曝の機会があることから、患者からしてみれば「えっ?そんなに危ないの?」と思えるような行動を取るわけです。
患者とその場の歯科医や衛生士の被曝量は防御をしないと仮定したらかなりの違いがあるでしょう。
このため、そのリスクを減らすように別室に逃げたりするわけです。
心臓カテーテルの手術の際には、先生は鉛の入った防護服を着て手術を行います。
これは、カテーテルを入れるためにずっと放射線を当てて体内の血管などを映すからです。
この手術は、被曝量を考えて週に2回が限度だそうです。
考えてみれば、その「患者さん」は、手術の間中ずっと大量の放射線を浴びていますが、手術が成功してから被曝のためにおかしくなったという話は聞いたことがありません。
一時的に大量に浴びたとしても、日常で害があるほど放射線を浴びる機会がないので、その点は心配ないわけです。
福島原発から出てしまった放射線については、その後私たちのために決死の覚悟で現場作業をしてくださった方たちのおかげで、この先もずっと浴び続けることはないですし、そのための処置が今なされているというのを忘れてはいけないと思います。
可能性があるなら排除したい・・・これは人間誰しもそう思うので、この考え方自体は否定されるものではないと思います。
でも、小児科医などが「もし代替の水がない場合には水道水を使ってください」と訴えているのは、水分を取らせないで脱水症状に陥らせる方がよほど怖いからです。
また代替と思って使う水が外国などのミネラルウォーターになってしまうような場合には、ミネラルの豊富な硬水は、赤ちゃんの内臓にかなり負担を掛けるので、そんなものを使うなら、念のためなどと言っていないで今の水道水を使った方がよほど安全です。
親は、自分はどうなっても子供は守りたいというのが当たり前の感情ですが、疑心暗鬼になりすぎて、却って大事なお子さんを危険にさらすようなことがないようにあまり「念のため」に囚われすぎない方がいいと思います。
今回の一連のできごとで私が痛感したことは、難しいことではなく、生活していくうえで判断基準となるような知識については、文系・理系を問わず教育することが必要だということです。
放射線というのは、日常生活でも浴びているということを知らない人は今回の報道で非常に怖い思いをされたのではないでしょうか。
ヨーロッパ企業などは、海外から赴任していた偉い人は帰国し、社員は関西に拠点を移して営業を再開したというところが多いようです。
ヨーロッパのどの国だか知りませんが、その飛行機に乗っている時間に浴びる放射線の量の方がよっぽど多いのに、それは問題にしなかったのでしょうか。
たぶん、これも「念のため」だと思います。
怖いが先行して、実際にはどうかという分析ができなくなっている良い例です。
以前、遺伝子組み換え食品が話題になった時、「遺伝子を食べるなんて気持ち悪い」と言った人がいて、ひっくり返りそうになりました。
生きている物はすべてDNAで出来ていて、その遺伝子配列の違いで野菜になったり、犬になったり、人間になったりしているので、私たちが日常で食べている物はすべて遺伝子を食べていると言ってもいいと思います。
遺伝子組み換え食品の是非はともかくも、遺伝子を口にしたことがないと思っている人がいるということは問題だと思いました。
今回も難しい計算云々は私には分かりませんが、基準値の決め方を知っているというだけで、今の大騒ぎがいかに馬鹿らしい、非現実的なことかは分かります。
そういう難しい知識ではない、ちょっとした安全基準についての知識があっただけでも、きっと連日の「もしかしたら危ないかもしれませんね」だとか「可能性があるなら避けた方がいいですね」という、水を飲まない方が体に悪いという部分は考えずに「取らない」という選択肢ばかりする報道に踊らされないで済んだでしょう。