2009年10月9日(金)こまりん
背中に重たい物をのせている感覚は、なかなか取れませんでした。
でも、いつものごとく「気にしない。いや、気のせい」と自分に言い聞かせながら、部屋を見て回りました。
あじゃみんさんは、楽しそうにリビングや他の部屋の写真を撮っていました。
キッチンに入った時、嫌な予感がしてリビングを振り返ると、黒い高速の影が高速で室内を移動するのが見えました。
足音というのは特に聞こえず、頭の中にわいてきたイメージは、ミシミシとフローリングの上を忍び足で歩くような音でした。
この日の夜は、リバーサイドにある中華レストランのジャンボであじゃみんさんとディナーをする予定でした。
チリクラブを食べようということになっていたので、楽しみにしていました。
きっと気分転換してくれば、状況も少し変わるかも・・・なんて無理やり思って影のことも忘れるように自分に言い聞かせました。
夜、ジャンボの外のテーブルで食事をしました。
時価って書いてあるのを「いったいいくらだろうね?」といい、あじゃみんさんが「1㎏でいくらですか?」と聞いて、もうさすがに忘れましたけど、すんなりオーダーできました。
揚げたバンズをソースにつけて、久しぶりのチリクラブを満喫。
1人旅もいいけど、こういう食事がなかなか出来ないので、食事だけ一緒にというのは良かったです。
おしゃべりにも花が咲き、〆にチャーハンも頼んで、もうお腹いっぱい!となって、帰路につきました。
コンドに到着し、ドアを開けた途端、また嫌な空気が私の体にまとわりつきました。
ちょっと今回はキツイなぁ~と思ったものの、楽しそうにしているあじゃみんさんに言うのも悪いし、とりあえず今回は3泊なので我慢できそう・・・なんて思いながら部屋に戻りました。
とりあえずシャワーでも浴びるかな・・・。
そう思って洗面所とシャワーブースのある部屋に入ると、床の一部と便座が霧吹きで水をかけたように濡れていました。
「なんでこんなところが・・・」
タオルも濡れていないし、鏡に結露もついてない。
蛇口から水を出しっぱなしにしたところで、場所的に水が溜まるようなところでもないし、そもそも私がやったのであれば覚えているはず。
それにそのままにしたところで、ジャンボに行ってから何時間も経っているのに乾かないわけがない。
「やばいなぁ~」
かといって、どうにもできないので、そのままシャワーを浴びました。
シャワーを浴びている間に、気づくとガラスのドアがスーッと音もなく開いてしまい、水が外に漏れないようにするために何度も閉めないといけなかった。
ガラスのドアは、とても重くて、勝手に開くなんてあり得ないのだけど。
「もう~!いい加減にしてよ」
何度もドアを閉めるうち、おばけと戦っているような気がして、ちょっとおかしくなってしまった。
「こんなことしたって、仕方ないんだからね!」
ドアが開くたびにそう言いながら、重たいドアと格闘していました。
シャワーから出て、音楽でも聴こうと持ってきたパソコンに小さなスピーカーを繋ぎました。DVDも持ってきていたので、それをセットしていると、あじゃみんさんが「こまりんさん、部屋見せてー」と言ってきたので、「どうぞ~」と答えると、入ってきた途端、パソコン一式を見て、「こんなのも持ってきたの~」と笑われてしまった。
「こまりんさんは、部屋ごと移動してるの?」と言われたけど、今回はこれでも少ない方なんだけどな。
あじゃみんさんは、部屋の中を一通りさらっと見て、すぐに出て行ったので、早速DVDの再生しました。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
1分も経たないうちに、スピーカーからは、私の好きな音楽と同時に野太い叫び声のようなものも聞こえてきて、それがノイズのようにそこかしこに出てくるようになったので、慌てて止めました。
何を言っているかは分からなかったけど、明らかに大陸系のアクセントだった。
夜、ベッドに入り、眠りにつくまでに、ベッドの周りを歩き回る足音が止むことなく続いていました。