皆様、こまりんさんから新たな怖い話が参りました。
といっても、今回はヒトコワな部類かも知れません。
お化けは出てきませんが、ある意味怖~い体験です。
幸せなママと赤ちゃん
少し前のことです。
私には実家の近くに掛かりつけの内科があって、以前からずっとお世話になっています。その日もアレルギーの薬を貰いにそのクリニックに行きました。
仕事帰りだったので、到着したのは17時くらいで、なんとか間に合ったという時間でした。中に入ると、待合室には4人くらい人がいました。これならそう待たなくていいかなと椅子に座ると、他の人たちは次々に名前を呼ばれて診察室に入って行きました。
私が最後の患者のようで、私の前の人は見たところ若い感じの女性で、ベビーカーを押してそのまま診察室に入っていきました。
「赤ちゃんの診察かな」
そう思って、それ以上特に気にすることもなかったのですが、診察室から鳴き声も聞こえず、まったく静かなままだったので、やっぱりお母さんの方なのかな?なんて思っていました。
彼女は再び待合室に戻ってくると、ベビーカーのお子様に優しく話しかけていました。
「もうおうちにかえれるよ~。おなかすいたかな~?みーみーちゃん飲もうね~」と。
ベビーカーの屋根と毛布でよく見えないのですが、赤ちゃんは、まだ小さい感じでした。
その後すぐに私も診察室に呼ばれて、アレルギーの事を話し、いつもの薬をもらいたいとお願いし、無事に用事はすみました。
会計後、処方箋をもって、すぐ隣の薬局に向かいました。
薬局の待合室には、さっきのベビーカーの女性がいました。
空いていたからか、お渡し窓口に私とその女性が同時に呼ばれ並んでお薬を受け取ることに。
その時も、ベビーカーからは何も聞こえてこないので、ずいぶんおとなしい赤ちゃんだなと、ふと中をのぞいてみたんです。
『えっ・・・』
思わず声が出そうになったのをなんとかこらえました。
ベビーカーの中にいたのは、人間の赤ちゃんではなく「人形」だったんです。よくある目がパチパチとまばたきをするよく出来た赤ちゃんの人形・・・。
固まって凝視する私を見て、薬剤師さんもベビーカーの中に視線をやり、私と同様に驚いているようでした。
ただ、私が驚いたのは「人形だった」という事実もそうですが、その人形がなんだか生きているように見えたからです。
いえ、見た目は誰が見ても作り物の人形なんです。
でも、何かこう生気のようなものが漂っていて、生きているように感じられました。
固まっている私の横で、隣のお母さんは、尚もベビーカーに話しかけます。
「パパがまってるから、早く帰ろうね~」
「それとも~いい天気だから、お散歩して帰ろうか~?」
女性が話しかけると、人形の目が開きます。
まるでお母さんの問いかけに答えているかのような絶妙なタイミングでまばたきをするのです。
『こんな人形きっとあるのよね・・・』
自分に言い聞かせるように心でつぶやきました。
いい天気だからといっても、すでに外は真っ暗です。
それに人形を待っているパパなんているでしょうか・・・。
その女性と同じくらいに外に出たのですが、彼女はベビーカーを押しながら、綺麗な声で歌をうたい、笑いながら赤ちゃん人形に話しかけていました。
私は子供の頃からこの手の人形が大嫌いです。
まるで生きているようで、すべての人形が私を見ているように感じられるからです。
今回の人形も私とばっちり目が合いました。
そして、私に笑いかけていました。
『あ~、この人形は、この女性から離れないな』
ベビーカーを見送りながら、私はそんな風に強く感じていたのでした。
おわり
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