ある程度の年齢の方なら、幼いころに「いざなみ」「いざなぎ」という神様や「イナバの白ウサギ」の物語は、絵本などで親しまれたことでしょう。
日本書紀もそうですが、日本人はいつから「日本国のはじまり」を学ばなくなったのでしょうか。
旧皇族の竹田恒泰氏は自著「日本人はなぜ日本のことを知らないのか (PHP新書)」のかで、このことについて言及されています。
神話なんて、所詮おとぎ話だからと捨ててしまうのでは、日本が日本としての価値をなくしてしまう。
竹田氏の「現代語 古事記」の冒頭には、日本が戦争に負けた後、連合国が取った政策について書かれていますが、もし連合国が皇室をなくし、全国の神社仏閣を焼き払い、公用語を英語にしようとしたら、日本人は怒り、反発して本当に竹やりで戦ったかもしれない。
しかし、日本人と神話を切り離し、少しずつ「日本という国の根幹」を奪っていったら、連合国が思うような「骨抜き」の国になっていくのではないかと考えたのだろうという意味のことを書いています。
この作戦は、みごとに成功したといってよいでしょう。
しかし戦後70年近く経って、日本は徐々にこの連合国の呪縛を自ら解き放とうとしています。
日本は、2000年の歴史を持つ国家としては世界太古の国家です。
ひとつの国家としての歴史の長さ、深さで世界に並ぶ国家はありません。
中国4000年だのといっても、ひとつの国として存在したわけではありません。
もちろん、大陸のそれぞれの歴史や文化を否定することなどありませんが、一国家としてこれほど長く続いてきた日本という国をもう一度見直そうという流れはとても自然なことだと思います。
長い間刷り込まれてきた「国旗や君が代は軍国主義の象徴」、「古事記・日本書紀は史実とは関係ない戦前の遺物」という思い込みを捨て、自分の国を知り、誇ることがすべて「右翼」であるかのごとき価値観は捨てる時代がきたのではないでしょうか。
まずは、日本はどうしてできたのか。
神話の世界で日本のはじめを知り、古代天皇の歴史に親しむことで、歴史的「史実」ではなく、日本はじめて物語としての「真実」を学びたいものです。
古事記については、現代語訳が色々出ていますが、表現が古かったりして、ちょっと読みにくい。
竹田氏が出された「現代語 古事記」は、大人の読み物として、非常に分かりやすく、知的欲求も刺激してくれる本ですが、今までまったく慣れ親しんだことがない人には、もうひとつクッションを置いてからだと、より楽しく読めるのでは?と思いました。
そこで、児童文学者である鈴木三重吉が著した「古事記物語」を第一歩としてお勧めします。
昭和30年が初版とはいえ、子供向けに書かれたものなので、まさに物語として非常に読みやすく、楽しく神々の物語を堪能できます。
なんとも人間くさい神様たちのイキイキとした物語を読んでから、本格的な古事記を読んでみてはいかがでしょうか。