最近、名古屋の河村市長が「南京大虐殺はなかったのではないか」という発言をし、そのことで江蘇省南京市で開催予定だった「南京ジャパンウィーク」の延期が決まり、その他タレントの公演などが中止になったり、中国から日本へのツアーがキャンセルになったりと、毎度のことながら、この問題での中国の姿勢は一貫して強硬のようです。
ネットなどでは「よく言った!」「南京大虐殺なんてもともとなかったんだから当然」など、河村氏を支持する、もしくは応援するようなメッセージで溢れ、撤回しないように要求するようなコメントもたくさんありました。
よくよく色々なニュースで河村市長の発言を読んでみると、河村氏は別に「戦闘行為がなかった」ということは言っておらず、「戦闘行為はあったと思うが、父親が南京の人たちに良くしていただいたので、(大量)虐殺というような事実はなかったのではないか」という主旨の発言をしたことが分かりました。
私は歴史の研究もしていないし、南京事件が本当はどうだったのか客観的に論じられるほど勉強もしていないので、あったなかったということではなく、河村氏の発言自体を考えてみたいと思います。
先に書いたように、中国は外交カードとして以前からずっとこの「南京事件(大虐殺)」を使ってきました。
これによって中国国民の日本に対する憎悪を増幅させ、反日教育にも取り入れてきました。
今回も河村氏が「戦闘行為はあったと思う」という発言はどうやら中国国民には伝えられず、あたかも日本軍が何もしていないと発言したように誘導していることが分かります。
これにより、また「頭のおかしな日本人が出た」、「日本は相変わらず反省も何もしていない」という認識を一般国民に与えているようです。
とはいえ、報道からですが、国として見ると「名古屋と南京の問題」として片付けよう、国対国という問題にはしないようにという意識が見て取れます。
官房長官が「名古屋と南京で解決して欲しい」と国会で発言したことからも、おおごとにはしたくないというのがありありと見えています。
個人的には、南京と名古屋の友好関係が壊れたところで、日本人として困る人っているのかな?というのが本音であり、別にそこまで日中友好ということを考えてきたわけではないので、素人の一般市民として考えると「まぁ、別にいいや」って感じです。
ただ、日本という国として、今後の外交ということを考えた時に今回の河村氏の発言は、かなり軽率だったといわざるを得ません。
上述の通り、中国は国益に照らして「南京」というカードをこれまでずっと外交カードとして使ってきましたし、一貫して「日本軍は南京の人々30万人を殺した」と主張し続けており、根拠云々を聞いても、証拠はあるといいながら、なんら具体的な証拠を提示してきませんでした。
南京での被害の調査もきちんと行っている様子はなく、いったいどこから30万人もの犠牲者数が出てきたのか、別に日本の肩を持つつもりはなくても全く分かりません。
ただ、国益を考えて「こういうカードを使って日本と色々な事柄を交渉する」ということでやっているのだとしたら納得できます。
そんな国を相手に、一番「本当はどうか」ということをほじくり返して欲しくない微妙なんてもんじゃない部分について、何も友好の場で日本の政治家が発言しなくても良かったのではないかと思います。
中国としては、「南京事件(大虐殺)」はあったという前提でしか物をいえないわけですから、こんなことを言われて、黙っていたらそれこそどうなるか分かりません。
嫌でも騒ぎ立てる以外に対処法はないと思います。
自分の父親がどうとかいうことを持ち出して、何10年もやり合っている問題を取り上げるのにあの場所はふさわしかったとはとても思えません。
河村氏としては、父親が南京の人に良くしていただいたという部分も強調したかったのかも知れませんが、それを言うのに虐殺がなかったとか付け加えてしまったから相手も動かざるを得なかったのでしょう。
政治家って、結局国とかそういう大きな物を背負っているのですから、あらゆるTPOについて敏感でなくてはいけないはずなのに、のほほんとそんなこと言っちゃって、中国側の関係者も困ったのではないでしょうか。
その場ですぐ怒って席を立ったわけではないことからしても、「(地雷を踏まれて)さて、どうしたものか」と困惑したのだと思います。
とはいえ、もう言ってしまったことは消えませんから、簡単に謝罪・撤回するというのも外交上問題です。
例えば、「真意が伝わらなかった」ことに対して謝罪などしても、きっと中国国内では「間違いを認めた」的な報道がなされるか、それとも「ちっとも反省していると言えない」とますます批判を強めてしまうと思います。
こうなったら、絶対に発言を撤回などせず、謝罪抜きで粘り強く「真意はこうです」といい続けるしかないのではないでしょうか。
最近、思慮に欠ける政治家ばかりで、なんか恥ずかしくなりますよ。