今日ご紹介する映画は大作だったはずなのに「B級テイスト」になっちゃった映画です。
2008年の公開当時、全米興行収入初登場1位となった「バーン・アフター・リーディング」(原題: Burn After Reading)。
ニューヨーク映画批評家協会賞、カンヌ国際映画祭 監督賞、アカデミー賞・脚本賞他多数受賞した「ファーゴ」(原題:Fargo)や、ハビエル・バルデムの怪演が記憶に新しい「ノーカントリー」(原題:No Country for Old Men)で有名なジョエル・コーエン&イーサン・コーエン(コーエン兄弟)が久しぶりに脚本・監督を務めた映画です。
この映画、大ヒットしているわりには見た人の感想もまちまちで「駄作」という声もちらほら聞こえます。
コーエン兄弟の映画は非常に個性的であるため、好き嫌いも分かれる作品も多く、これは仕方ないのかなと思ったりもします。
ブラッド・ピットやジョージ・クルーニー、ジョン・マルコビッチその他大勢のハリウッドスターが使われているのですが、使いきれていない感が出てしまっているため、ちょっともったいない映画でもあります。
ジョン・マルコビッチ演じるCIA職員のオズボーン・コックスは、アルコール依存症が原因で左遷されてしまいます。
短気なオズボーンは怒りにまかせて辞めてしまうのですが、そのアル中男が自分をこんな扱いにした憎きCIAへの腹いせに暴露本を書くというのがベースラインで、この酔っ払いが書いたどうでもいいような文書が「CIAの機密文書」と勘違いされたことから始まるドタバタ劇です。
こんなおバカな勘違いをするのは、オズボーンが通っているフィットネスジムの従業員チャド・フェルドハイマー(ブラッド・ピッド)とリンダ・リツキ(フランシス・マクドーマンド)で、単なる筋肉バカと整形して美しくなることだけしか頭にないおばちゃんのふたりが、原稿とオズボーンの財務表の入ったメディアを見つけたことで「きっとこれはすごい極秘情報かも知れない。これを元手にお金が手に入るかも」と、想像通りのおバカなことを考えるわけです。
当初、オズボーン本人から金をゆすり取ろうとするのですが、短気なオズボーンとの交渉は決裂してしまいます。
そこでやめておけば良いものを(でもやめたら映画が終わっちゃいますが)、「だったらロシアに売ってやろう!」とロシア政府にCIAの機密情報(と思っている作文)を売ることにするのです。
ロシア大使館にはリンダが行くことになり、チャドは「もっと他の情報も手に入るかも」とオズボーンの自宅に忍び込むことにします。
チャドはまんまとオズボーンの自宅に侵入するのですが、そこでオズボーンの妻ケイティと不倫している元財務省連邦保安官ハリー・ファラー(ジョージ・クルーニー)と鉢合わせしてしまいます。
そこから先がどうなるかはぜひDVDをご覧いただきたく、今回はネタバレなしです。
題名のバーン アフター リーディングは、機密文書などに書かれている「読後焼却のこと」という決まり文句で、簡単にいえば「機密文書だから読み終わったら燃やして捨ててね」ってことです。
こういう勘違いストーリーの映画は大好きなのですが、見終わった感想としては、監督がコーエン兄弟じゃなかったら、そしてこんな豪華な出演者じゃなかったら、本当にどうでもいいような展開の映画だったな、というのが本音です。
色々個性的な登場人物がいるのですが、キャラが描き切れていない感じがして、せっかく出演している俳優陣も豪華なのに、実にもったいない。
とはいえ、なんだか記憶に残るし、たまに見返したくなる変な映画なのでご紹介することにしました。