なんともイタイ感じの邦題ですが、原題はそのまんま「The Iron Lady(鉄の女)」です。
涙とかつけちゃうところが、いかにも日本らしい・・・。
まぁ、それはいいとして。
暴風が吹き荒れた火曜日、半蔵門線に乗ったら「渋谷で折り返し」・・・つまり、田園都市線は止まってしまったというので、渋谷なら映画館がたくさんあるし、遅くまで暇を潰せばまた動く・・・と昨年の台風の日に銀座で映画を観て帰ったノリで渋谷に行きました。
TOHOシネマズに行き、上映作品をチェック。
すると、サッチャーさんの映画が19時からとなっていて、残席も◎なのでよし!っとばかりに地下道に戻って109の2階にあるチケットぴあに前売り鑑賞券を買いに行きました。
1300円(実は、こんなことしなくてもTOHOシネマイレージデーで同じ1,300円で観られたんですが、そんなこととはツユ知らず・・・)の前売り券を買って、劇場近くのロッテリアで照り焼きチキンバーガーを食べて腹ごしらえをし、みんなこんな日に映画観ないで何してんだろう?って感じに良い席が取れたので、ど真ん中で鑑賞しました。
この映画は、英国で初の女性首相となったマーガレット・サッチャーが若い頃父親に影響されて政治の道を志し、議員になってから首相として活躍するところを描いています。
サッチャーさんは御歳86歳で存命の人物なので、現在のサッチャーさんの様子も出てきます。
特殊メイクをした主演のメリル・ストリープが演じているのですが、びっくりしたのはこの特殊メイク技術の高さ。
一昔前なら、どうやっても「めっちゃ造った顔」って感じで見苦しかったのですが、今はかなりナチュラルです。
100%とまではいきませんが、許容範囲というか、そこまで違和感なく見られました。
サッチャーさんは認知症を患っているため、もう表舞台には出てきていませんし、その認知症の発症した演技や亡くなった夫の幻と話す場面など、すべて創造の産物ですが、うまく現実と幻想を描き分けていて、こちらも違和感なしで、本当は夫はこの世にいないと分かろうとする演技が涙を誘いました。
長女のキャロルさんが2008年に母親が認知症であることを明かしたのですが、病気の発症は2000年頃からだったようです。
映画では、病気が発症する前までは、引退して随分経つというのに、サッチャーさんは英国で影響力のある女性であり続けていたことが分かります。
メリル・ストリープは、議員になって党の中枢に近づいていた頃からを演じているのですが、その当時から現在の80代を見事に演じ分けていて、アカデミー賞も納得の素晴らしい演技でした。
話というより、その演技に感動してウルウルしてしまった私です。
マーガレット・サッチャーという人物は、激動の時代に政治のトップになった人ということで、教育や景気回復、フォークランド紛争という戦争まで経験し、たぶん、今でも評価は非常に分かれるところだと思います。
鉄の女というあだ名は、ソビエト連邦が軍事新聞の中でそう呼んだことがきっかけで、批判のために名づけたのですが、本人もこの呼び名を気に入り、また英国内でもたくさんのところで取り上げられたために、すっかり「代名詞」として定着してしまったようです。
どんな困難な時でも信念を曲げないマーガレット・サッチャーという人物がとても良く描けた映画だと思います。
観て損は一切ない、お勧めの映画です。
マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙
原題: The Iron Lady
製作国: 2011年イギリス映画
監督: フィリダ・ロイド
製作: ダミアン・ジョーンズ
脚本: アビ・モーガン
美術: サイモン・エリオット
撮影: エリオット・デイビス
編集: ジャスティン・ライト
衣装: コンソラータ・ボイル
キャスト:
メリル・ストリープ
ハリー・ロイド
ジム・ブロードベント
アンソニー・ヘッド
リチャード・E・グラントほか