あじゃみんのブログ

美味しいものや、経営する雑貨店のこと、女性の心身の健康について、その他時事ネタなど好き勝手に書いているブログです。

ジュリー&ジュリア ~料理が変えたふたりの人生~

自分の存在価値って、考えたことがありますか?

以前、別の会社にいた時に情報システム部の子が「私たちは技術があるから人よりお給料が高くて当たり前」と言っていました。

そのことには何の異論もありません。

私のような特に専門的な知識もない人間には、努力して技術を身につけた人はすごいなと思いますし、お給料がその人より低くても、当然だと思います。

でも、お給料や特別な技術の有る無しで「存在価値」が決まるのでしょうか。

もちろん、彼女は人の存在価値にまで言及したわけでもなんでもないですが、そういう技術がないと「価値」はないのだろうかとふと思ったことを思い出しました。

この映画は、1950年代にフランス料理をアメリカの家庭でも味わえるという本を出版し、テレビの料理番組でも大活躍したジュリア・チャイルドと、ジュリアの人生とレシピ本に感動し、自分も料理に挑戦してブログで発表することにしたジュリー・パウエルの時代を超えた女性の成長を描いた映画です。

ジュリアの生きた時代は、まだまだ保守的な時代ですから、夫が転勤なら妻も当然着いて行きますし(これは今でも基本的には同じでしょうか)、それが食の都?パリなら毎日美味しい物を食べ歩くのも分かります。

でも、子供のいない自立したひとりの女性が何もせずに夫の帰りを待って家事をするのは、きっと退屈な毎日になったと思います。

ジュリアは天性の明るさで、パリの生活をエンジョイしますが、そのうち「食べるのが好きだから、料理を習おう!」となんと名門の料理学校ル・コルドン・ブルーのプロの料理人養成講座を受けることにしました。

社交的な彼女は、色々なパーティーにも出かけていくのですが、出会いを通じて料理の仲間もでき、ジュリアはめきめきと腕を上げていきます。

そして、とうとう「助手のいない女性でもフランス料理が作れるように」というコンセプトで本を書き上げます。

ここまでの紆余曲折も面白いですし、とうとう一冊の本が出来上がった時の喜びはいかばかりだったかと思いながら観ていたら、自分も嬉しくなってちょっと涙が出ました。

一方、ジュリアに感銘を受けた崖っぷち人生のジュリーは、自分が出きることをやってブログに発表し、今までの中途半端ですぐ投げ出す性格に鞭打って、絶対にやり遂げることを誓います。

524もあるジュリアの本のレシピを、1年間、つまり365日で全部作ってみるというのです。

読者から差し入れなどを貰ったりして、やりくりしながら作っていくのですが、本当にこれやってたらすごいお金がかかるだろうなぁ~と心配になりながら見ていました。

もちろん、ポイントはそこではありませんが(笑)

ただ、やはり性格も違うし生きている時代も違いますから、なんでもジュリアのようにいくわけではないので、失敗も繰り返し、怒って夫に八つ当たりしたりと、楽しむために始めたはずが、すっかり自己中心的になっていってしまったりして、「人は他人のようにはなれない」ということを実感させられました。

でも、人生のターニングポイントというのは、苦しんだ時に生まれるものですね。

全部食べたら病気になりそう(つまりかなり美味しそう)なレシピばかりでしたが、この本を通して、ジュリーの人生にはさまざまなレシピが生まれたようです。

この挑戦がやがて新聞に掲載されて本になり、そして映画になっていきました。

普通は、そこまでのことはないにせよ、自分の人生で「これを頑張ろう」と思ってやったことって、きっと良い結果が待っているのだと思いました。

なかなかやり遂げるというのは難しいですが、小さなことでも何かに自分を見出していくことが自分の人生を豊かにすることなのでは?と頑張る気持ちにさせてくれる映画です。

そして、自分の存在価値というのは、決してただ成功するとかお金持ちになるということが最終目標ではなく、「自分にはこれ」というものを見つけて、続けていくことで何かが生まれ、結果が着いてくるのだと思いました。

おばさん年代になってから始めた料理で一世を風靡したジュリアも、レシピ本に挑戦したジュリーも結局「やり遂げた」からこそ結果が着いてきたのですから。

Julie

ジュリー&ジュリア(2009)
原題: JULIE & JULIA
上映時間:123分
メリル・ストリープ(ジュリア・チャイルド)
スタンレー・トゥッチ(ポール・チャイルド)
エイミー・アダムス(ジュリー・パウェル
クリス・メッシーナ(エリック・パウエル)

【ストーリー】
1949年、ジュリア(メリル・ストリープ)は外交官の夫ポール(スタンレー・トゥッチ)の転勤でパリにやって来る。元々食べることが大好きだった彼女は、趣味が高じて名門料理学校ル・コルドン・ブルーのプロ養成コースに通い、やがて「助手のいない女性でも家庭でフランス料理が作れる」コンセプトの料理本を執筆し、TVで料理番組を持つまでになる。
その50年後、ジュリー(エイミー・アダムス)は、崖っぷち人生を生きている自分が「何かやり遂げるとしたら?」と、ジュリアの524のレシピを1年で制覇し、ブログに載せるという無謀な計画を実行する。