先日、強羅のホテルですっころんで頭を打ち、まだなんだかじんわりと痛みが続いているので、念のため脳神経クリニックに行ってきました。
わざわざラインでご自身のご家族の体験を送ってくださった人もいて、やっぱり大事を取るというのは大切なことだと思いました。
CTを撮りましたが、まったくなんともなかったので、ほっと一安心。
脳って、一度ダメージを受けたら細胞そのものは基本的に再生しないので、本当に気を付けないといけませんね。
まぁ、今回のことは「何度も事故が起きているのに安全対策をしていなかった」というホテルの不手際だったので、気を付ければ済むということではありませんでしたが。
そんなこんなで”脳”というものが私の中でクローズアップされた今日この頃でしたが、YouTubeである対談を観た時、パーソナリティの方が「みんな恋は落ちるものっていうんですけど、全然落ちないんですよ!」とかいう場面があって、恋に”落ちる”って表現、英語でもFall in loveっていうし、面白いなぁ~と思ったんですよ。
出会った瞬間に「あっ、自分はこの人と結婚するって思ったんです」とか言う人いるじゃないですか。
これもビビッ!という衝撃がなかったとしても”落ちた”ってことなんだと思うんです。
恋をした・・・じゃなくて、恋に落ちた。
ふっと胸のところに落ちてくる感覚っていうのでしょうか。
これ、いったいどこから来るんだろう・・・ということで、今日はこの”恋に落ちる”とはなんぞやというお話をしてみようと思います。
結局は、脳のお話
さて、上記を読んで「いったいホテルですっころんで頭を打った話と恋に落ちるってことの何が関係あるんだろう?」って思った方は多いと思います。
てか、きっとみんなですよね(笑)
実は、この”恋に落ちる”ということそのものが”脳”に関係しているからなんです。
恋というものは、ひとめ会ったその時に”脳”が暴走した結果”落ちた!”って錯覚することから始まります。
なぜ人は「この人が運命の人だ」と”錯覚”してしまうのか、今日は、そんなお話を書いてみようと思います。
具体的な脳の話に入る前に、ビビビ!と来た・・・とか恋に落ちた・・・とかって、いったいどこから来るのでしょうか。
恋に落ちるには、何かのきっかけがあるはずですが、そのビビビのスイッチはどうやって入るのか。
これがいわゆる”一目ぼれ”だとわかりやすいですよね。
目の前に現れた人がめっちゃ好みで、もう好きにならずにはいられない!なんてことだったら、それがビビビ・スイッチになるわけですけど、特にそこまで好みのタイプでもないのに落ちちゃったりするのって、いくつかスイッチの種類があるんです。
匂いが引き寄せる恋
まずは“匂い”。
人間って、実はごく微量の フェロモン(みたいな化学物質) を体から出しているんです。
このフェロモンというのは、動物の世界だと「発情のサイン」みたいに使われる有名な物質なんですが、人間も動物の一部ってことで、それに近い“なんとか物質”があって、皮膚からほんの少しだけ放出されているんです。
ちなみにフェロモンって何かというと、「相手に無意識の反応を起こさせるための化学物質」みたいなもの。
猫が発情期にオスを呼ぶときに出すアレ、と言えばイメージしやすいかもしれません。
面白いことに猫ってメスが発情してフェロモンを出すと、オスは全然発情していなかったのに、その匂いで「やだ!ミケちゃんが呼んでる!あっ、この匂い、なんか興奮してきた!」って自分も発情して、子孫繁栄に向かっていくんです。
でも、オスが発情して「可愛いミケちゃん、僕といたさない?」って誘っても、メスが発情期でない時は、そもそもメスの脳のスイッチが入っていないので、「ふん!あんたなんかに用はないね」って塩対応されてしまうんです。
──この“匂いでスイッチが入る”という仕組みは、実は人間にも薄~く残っているのです。
人間の場合は、動物ほど強烈なフェロモンは出ていないんですが、免疫のタイプ(MHC)に関係した“相性サイン”みたいな微量物質があって、それが皮膚からふわっと出ていると言われています。
MHCは、免疫の型を決める遺伝子で、脳は無意識に、自分と違うタイプのMHCを持つ相手の匂いを「いい匂い」と感じやすい。
その理由は、違う免疫タイプの相手と子どもを作ると、その子がより強い免疫を持つ可能性が高いからなのです。
これも人間が動物の一部ってことを証明していますね。
だって、人間は、子孫繁栄のためだけに性行為をするわけではないにも関わらず、子孫繁栄につながるようなものに惹かれてしまうわけですから。
そんなフェロモンみたいな物質を嗅ぐと、それを感知した脳は、匂いに反応したとは思わずに「この人なんか好きかも…」、「なんか落ち着く…」みたいな反応をしてしまうことがあるんですよ。
明確な匂いとして気づかないくらいだと、それがビビビ・スイッチとなって、落ちてしまうわけです。
もちろん、「彼の匂いが落ち着く」って、はっきり匂いに惹かれたって分かっている人もいますから、脳が「良い匂い」と判断したものに反応をしているということです。
また、この匂いに対する反応は、人間も男女差があります。
男女ともに匂いに反応はするのですが、ビビビ・スイッチへの影響といえば、女性の方が匂いに敏感で、「いい匂い」に惹かれる度合いは女性の方が大きいようです。
これは、女性は妊娠・出産という大きなリスクを背負うため、遺伝子の相性チェックがより厳密になるからと言われています。
男性はというと、これがまた視覚情報の影響が圧倒的に強いため、匂いの影響が女性ほど決定打になりにくいというのがあります。
確かに「ひとめぼれ」とかっていう人、男性の方が圧倒的に多いですよね。
声が引き寄せる恋
恋が始まるとき、人はまず言葉の内容よりも“声そのもの”に反応します。
声は、匂いに次いで無意識の相性が強く出る要素で、相手の声を聞いた瞬間に脳の扁桃体が「安心できるかどうか」を判断します。
声の高さや響き、息の量、話すテンポは、その人の身体的特徴やホルモン状態を反映しているため、声そのものが“相性の情報”になっています。
そのため、
「この人の声だけ落ち着く」
「電話の声で好きになった」
といった現象は、科学的にも説明できる自然な反応です。
好きな声を聞くと、脳内ではオキシトシンやドーパミンが分泌され、安心感や心地よさが生まれます。オキシトシンやドーパミンについては、第二章で詳しく書きますので説明は割愛します。
特に女性は、自分の生理的リズムと相手の声の周波数が合うかどうかを無意識に感じ取り、男性は相手の声の柔らかさや息の量を好意のサインとして受け取りやすいと言われています。
声は、恋の入口であり、心の安全装置のようなものです。
言葉よりも先に、声そのものが「この人は大丈夫」と教えてくれるのです。
仕草がつくる安心感
仕草もまた、恋のスイッチを押す大切な要素です。
恋愛初期に感じる“ビビビ”の多くは、仕草の同調によって生まれます。
人は好意を持つ相手の動きを自然に真似する傾向があり、これをミラーリングと呼びます。
脳のミラーニューロン(相手の動きを見るだけで自分の脳も同じ反応をする仕組みのことで、仕草が似ると安心感が生まれやすくなります)が働くことで起こる現象で、逆に相手の仕草が自分と似ていると、理由もなく安心感が生まれます。
手の動かし方、瞬きのリズム、姿勢の角度、身体の向きなど、細かな動きの“テンポ”が合う相手とは、会話も沈黙も自然に流れます。
「なんとなくこの人といると落ち着く」「初対面なのに緊張しない」と感じるのは、仕草の同調が静かに起きている証拠です。
恋は、言葉よりも先に身体が反応します。
仕草のテンポが合う相手は、無意識のレベルで“安心できる人”として認識され、その安心感が恋のスイッチをそっと押してくれるのです。
過去の記憶がつくる「安心のテンプレート」
恋の“ビビビ”は、実は過去の経験とも深くつながっています。
人は幼少期から、安心できた人の雰囲気や声、距離感、表情などを無意識に記憶しています。
これが脳の中に“安心のテンプレート”として保存され、似た雰囲気を持つ相手に出会うと、理由もなく惹かれるのです。
・ 昔好きだった人に似ている
・ 家族や親しい人と同じ空気を感じる
・ 過去に安心できた人と同じテンポで話せる
こうした“懐かしさ”や“安心感”が、恋のスイッチを押すことがあります。
恋は新しい出会いでありながら、どこかで「知っている感覚」を求めてしまうのです。
タイミングが恋を動かす
同じ相手でも、出会うタイミングが違えば恋にならないことがあります。
恋が動くには、心に“余白”が必要だからです。
・ 新しい環境に入ったとき
・ 自分を変えたいと思っているとき
・ 孤独を感じているとき
・ 心が安定しているとき
・ 何かを手放した直後
こうした心の状態は、恋のスイッチを押しやすくします。
タイミングが合うと、相手の声や仕草、距離感がより強く心に響き、恋が動き出します。
第二章につづく
