あじゃみんのブログ

美味しいものや、経営する雑貨店のこと、女性の心身の健康について、その他時事ネタなど好き勝手に書いているブログです。

サブスタンス(2024)~アマゾンプライム配信記念・紹介2回目~

以前、ルッキズム*1について書いたとき、私たちがどれほど「見た目」という基準に縛られ、評価され、そして自分自身をその物差しで測ってしまうのかを考えました。
昨今、“美魔女”なんて言葉が持てはやされるのも、そんな価値観の延長線上にあるのかもしれません。
いつまでも美しくありたいという気持ちはわかりますが、必死に若作りをする……というのは、いったいどういうことなのでしょうか。

気づけば、気にしているのは男性の視線ではなく、女性同士でマウントを取り合うような、なんだか変な世の中になってきた気さえします(あくまで個人の感想です)。
映画『Substance』は、そのテーマをさらに極端な形で突きつけてくる作品です。
“見た目”という呪いがどれほど深く私たちの内側に入り込んでいるのか、この映画は容赦なく可視化していきます。

サブスタンスという英語は、「物質」「中身」「本質」といった意味を持つ言葉です。
目に見える“外側”だけでなく、その奥にある“本当の中身”を指すときにも使われます。
映画のタイトルとしての『Substance』は、まさにその二重の意味を踏まえています。
若さや美しさといった“外側の物質”としての自分と、年齢を重ねた“内側の本質”としての自分。

その二つがどこまでズレていくのか――映画はその断絶を容赦なく描き出していきます。

あらすじ

物語の主人公は エリザベス(デミ・ムーア)。
かつては輝かしいキャリアを誇った女優である彼女は、年齢とともに仕事も評価も奪われ、社会から“見えない存在”として扱われていきます。
ある日、事務所の社長に呼び出され、自分の唯一のレギュラー番組であるエクササイズ番組を降板させられてしまいました。

追い詰められたエリザベスは、「完璧な自分」を取り戻すための最新テクノロジー――自分の若く理想化されたコピーを作り出すサービス「サブスタンス」に手を出します。

そして生み出された“理想のエリザベス”を演じるのが、マーガレット・クアリー。
別人として、エリザベスの降板した番組のオーディションを受けに行きますが、審査員である社長は、分身に心を奪われてしまいます。
若さ、美しさ、軽やかさ、社会が求める「完璧な女性像」をそのまま体現したような存在で、周囲の人々は自然と彼女に惹かれていきます。

2人は、 1週間ごとに交代するというのがルールですが、若返ったエリザベスの分身は、だんだんと1週間では時間が足りないと思い始めます。
一方、現実のエリザベスは、理想像が自分の人生を乗っ取っていくような感覚に追い詰められ、二人の間には目に見えない境界線が生まれ始めます。

最初は「補い合う関係」のはずだった二人は、やがて “どちらが本物なのか”、“どちらが社会に必要とされるのか”という避けられない問いに向き合わされます。

映画はこの“分裂”をホラーとして描きながら、実は私たち自身が日常で抱えている「理想の自分」と「現実の自分」の断絶を、鋭く、そして痛々しいほど正確に映し出していきます。

総括

映画はこの“分裂”をホラーとして描きながら、実は私たち自身が日常で抱えている「理想の自分」と「現実の自分」の断絶を、鋭く、そして痛々しいほど正確に映し出していきます。

若さを保つこと、美しくあること、社会にとって“価値のある女性”であること。
そのプレッシャーがどれほど残酷で、どれほど私たちの内側を蝕むのか。
映画『Substance』は、ルッキズムの問題を単なる社会批評としてではなく、身体と心のホラーとして描き切っています。

また、この映画は、デミムーアの怪演も話題になりました。

デミ・ムーアの怪演は、単なる“復活”という言葉では片づけられない迫力があります。
年齢を重ねた身体の重み、視線を浴びなくなる痛み、そして「若さ」という幻想に追い詰められる女性の孤独。

それらを、彼女は恐ろしいほどリアルに、そしてどこか痛々しいほど誠実に演じています。
『Substance』は、若さや美しさをめぐる社会の価値観を批判するだけの映画ではありません。

むしろ、私たちが日常の中でふと感じる“見た目への不安”や“理想の自分との距離”を、極端な形で見せることで、

「本当はどんな自分でいたいのか」

という問いを静かに突きつけてきます。

美しくありたい気持ちは誰にでもあるし、年齢を重ねることに不安を抱くのも自然なこと。

でも、若さを追いかけるあまり、今の自分を否定してしまうとしたら――それはもう、ホラーなのかもしれません。

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サブスタンス(2024)
原題:Substance
監督・脚本:コラリー・ファルジャ(Coralie Fargeat)
出演者:
デミ・ムーア(エリザベス役)
マーガレット・クアリー(スー役)
デニス・クエイド(ハーヴェイ役)

*1:ルッキズム(Lookism)とは、外見によって人を評価したり、差別したりする考え方のことです。例えば、「容姿が良い人は優れている」「見た目が悪いと不利になる」といった価値観が社会に根付いている場合、それはルッキズムの影響を受けていると言えます。