復活!こまりんシリーズ第2弾
アレルギーに悩まされているあじゃみんです。
昨日は、朝薬を飲んだらなぜか午後4時頃に効いてきて、眠くて死にそうでした。
いや、眠くなっただけでは死にはしませんが・・・。
そのせいでレディースデーで観に行こうと思っていた映画も断念し(久しぶりのホラーだったのに!!)、家に戻ってうだうだしておりました。
さて、こまりんさんの新作、今回は怖いというより、ちょっと考えさせられるお話です。
怖いのが苦手な方もお読みいただける内容だと思っております。
では、始めましょう。
ミャンマー連邦共和国は、東南アジアに位置する共和制国家です。
歴史には疎くても、ビルマの竪琴という映画を知っていれば、旧名がビルマというのを知っている人も多いのではないでしょうか。
イギリスの植民地だったことや、独立後も軍事政権が続いたりと、波瀾万丈な歴史のある国でもあります。
民主化運動を続けていたアウンサンスーチー氏が長い間自宅軟禁状態にあったことは、世界の人々が知っています。
そんなミャンマーですが、近代化してきたとはいえ、国としてまだまだ十分に発展しているとは言い難いところもあります。
出張でミャンマーに行った時のこと。
ミャンマーのホテルは、電力が安定せず、停電などはしょっちゅう起こります。
そして、断水も多く、シャワーが出ない・・・なんてことも何度もありました。
仕事も終わり、やっと帰国という前日。
早朝出発のため、空港近くのホテルに移動して、チェックインしました。
初めて泊まるホテルでした。
部屋は、6階の角部屋です。
狭くもないし、一晩くらいなら十分というお部屋でした。
バシッ!
仕事のまとめや書類の作成をしていたのですが、そんな音がして突然電気が消えました。
「しょうがないなぁ~」
もう慣れっこなどで慌てることもなく、準備してあった懐中電灯を点けて仕事を続けていました。
電気が消えたので、当然冷房も消えてしまいます。
「いつ回復するかなぁ~。なんか蒸し暑くなってきたし」
などと独り言をいいながら待ちましたが、電気が点く気配は一向になし。
さすがにずっと懐中電灯では、バッテリーがなくなってしまうかもしれないし、目にも良くないからと諦めて寝ることにしたのです。
そして、ウトウトしかけた頃。
おしゃべりをしながら廊下を歩く人の声が聞こえてきました。
夜中なのに、結構大きな声です。
「うるさいなぁ~。こんな時間まで観光?」
扉の向こうからなので、言語も分かりませんでしたし、大きな声といってもくぐもってしか聞こえてこないので、どんな人たちかは分かりませんでした。
ただ、声の高低で、どうやら男女のカップルのようでした。
そのふたりがすぐ隣の部屋に入った音がして、静かになりました。
「ずいぶん遅くまで遊んでたんだなぁ」
この街にそんな場所ってあるのかと思いつつ、眠かったのでそのまま眠りにつきました。
ザザザーーーーーー。
しばらくして、水の流れる大きな音で目が覚めてしまいました。
「もう・・・・なによーーーー!!」
はじめはスコールかとも思いましたが、どうやら隣の部屋から聞こえてきます。
じっと耳を澄ますと、笑いあう男女の声も聞こえました。
やっと眠れると思ったのに、何もこんな夜中にシャワー浴びなくても・・・。
「くっ!・・・・・・・・・・・」
気になって起きて試してみましたが、電気はまだ点いていません。
「こんな真っ暗な中でよくシャワー浴びられるなぁ」
自分だったら絶対怖くて無理だわ・・・なんて思いながらも、眠さの方が勝ったのか、気づかぬうちに寝てしまったようでした。
翌朝、ぐっすりねむったからか、爽やかに目覚めました。
夜中に帰ってきたからか、あんなに色々と聞こえてきた隣の部屋からは物音ひとつしません。
荷物を持ってフロントに行き、チェックアウトの手続きをしました。
「おはようございます。昨日は大丈夫でしたか?」
フロントマンがにこやかに聞いてきました。
「ハハハ#停電はもう慣れました。私はシャワー浴びた後だったから、諦めて寝ちゃいました」
「そうですか。それは良かった」
それからタクシーを待つ間、他に人もいないので、フロントマンとお話しすることにしたのですが、私が「そういえば、昨日はお隣の部屋のカップルかしら?電気がつかないのにシャワー浴びながら、話しとかしててちょっとうるさかったんですよ。でも、あんな真っ暗な中でシャワー浴びるなんて、旅の人はたくましいですよねー」と話すと、彼は一瞬怪訝そうな顔をして「隣の部屋ですか?」と言いました。
「そうよ、私は一番奥の部屋だったから、隣は一部屋しかないでしょ?」
彼は、私が返した鍵を見返して、部屋番号を確認していました。
そして、
「・・・あのぉ、昨日はこのホテルに泊まっていたのはお客様だけです」
と、言ったのです。
「えっ?」
聞き返す私の顔をじっと見ながら、フロントマンはもう一度
「昨日は、お客様の他には誰もお泊りになっていなかったので、話し声なんてしたはずありません」
と言いました。
「はい?」
そんなはずない・・・・と言おうとした時、タクシーがホテルの前に着きました。
「タクシーが到着しました」
話を続けるのが嫌だったのか、フロントマンはすぐに笑顔でタクシーを示しました。
「ありがとうございました」
あくまで笑顔の彼になにも言い返せず、「じゃあ、お世話様でした」という感じのあいさつをして、タクシーに乗り込みました。
後で聞いたところによると、このホテルは軍事政権下でクーデターを起こそうとした人たちが集っていた場所だったそうです。
そして、集まっているところを軍隊が乗り込んできて銃撃戦になり、30名の若者が命を落としたところでした。
確かに、壁のあちこちに弾の痕があったのは気づいていました。
その頃の若者たちは、今の自分の国の発展した姿を見て、どう思っているのでしょうか。