あじゃみんのブログ

美味しいものや、経営する雑貨店のこと、女性の心身の健康について、その他時事ネタなど好き勝手に書いているブログです。

この子の七つのお祝いに ~観る人の年齢を選ぶ映画~

昨日、友人とご飯を食べた時、先日彼女が見た「セカンド・バージン」という鈴木京香主演の映画があまりの駄作で「あれほど酷い映画は、ここ最近観たことがない」とのことで、「逆にあじゃみんさんに観て欲しい」とまで言われたのですが、そこまで言われると確かに見たいなぁ~なんて思ってしまいました。

昔、「アラスカ空港で食べたうどんがこの世の物とは思えないほど不味かった」というのを芸能人の誰かがTVで喋っていて、そこまで言われると逆に食べてみたいなぁ~って周りの人たちが言っていたのを思い出し、そこまで言うなら、ぜひ観なくては・・・と思いました。

そんな時、なぜか「昔に観て意味不明~なんて思ったけど、大人になって観てみたら、案外良い映画だった」と思った作品のことを思い出したので、書いてみます。

中学以降、そこまでたくさんではないですが、ちょこちょこと映画を観てきました。

それから長~い年月が経ったわけですが、大人になってから「なるほど」と思って、見方がかなり変わった映画があります。

10代前半くらいに観た「この子の七つのお祝いに」という映画。

名作「蒲田行進曲」と同時上映だったのですが、同級生と蒲田・・・にハマっていた私は、町田の映画館で蒲田・・・を何度も観るために1日中映画館に入り浸っていました。

この子の・・・は、そのため必然的に何度か観ることになったのですが、当時は「何この面白くない映画」とふたりとも思っていました。

なんだか暗くて、意味のよく分からない映画だったのです。

席は自由席で、ずっと取っていたいからとはじめは座っていたのですが、何回か観た後(映画館に通っていたものですから)、いい加減飽きて、適当にロビーなどでおしゃべりしながら時間をつぶしたりもしていました。

出演は、岸田今日子岩下志麻根津甚八杉浦直樹芦田伸介、辺見 マリという豪華キャスティングだったのですが、その当時、そんな大人な出演者にはあまり興味がなかったので、その価値はまったくわかっていませんでした。

まぁ、なにしろジャッキーチェンの映画なんか夢中で観てたりしたものですから(笑)

原作は、ミステリー作家の斎藤 澪氏。
当時は、名前も知らない作家だったし、読んだこともなかったので、この映画に対してもともと何の思い入れもなく(蒲田観たさだったから)、あまりにく暗くて陰湿な内容だったので、良さがちっとも分からなかったのです。

ストーリーが本当に暗くて、岸田さん演じる「母親」が娘のマヤと暗く狭いアパートの一室に住み(もう、見るからに極貧)、自分を裏切り、家族を捨てたお父さんをマヤが大きくなったらきっと探し出して復讐してと毎日・毎晩呪文のように言い続け、マヤが7歳になった日、自らの手首と頚動脈を切り、マヤの隣で血まみれになって悲惨な最期を遂げたのです。

そこから、10数年後に東京である殺人事件が起きます。
女性が鋭い刃物で滅多切りにされ惨殺されるという事件で、調べるうちにこの女性は「青峨(せいが)」と呼ばれる「彼女に見てもらうと驚くほど当たり、出世できる」と評判になって、政界や財界の著名人が彼女に手形を持って鑑定を依頼するというほどの占い師に関わっていると思われる証拠が出て来きました。

しかし、青峨は決して姿を見せることなく、手形だけを受け取り、後日鑑定結果を届けるというスタイルの占い師で、青峨の姿を直接見た者は誰もいないため、捜査は難航することになります。

ルポライターのオモダ(杉浦)は、この事件に興味を持ち、独自に調べ始めるが・・・・。

とまぁ、こんな感じで、最初から真っ暗。
岸田今日子演じる母親の「マヤ、お父さんを恨みなさい」ってセリフが怖いのなんのって、最初から最後まで恨みとかそういう事柄ばかりだし、男と女の絡み(Hなシーンというわけではないのですが)なんかもあって、ストーリー自体は理解できても、いったい何をいいたいのこの映画は・・・・って、正直うんざりしていたのです。

また、主な出演者がみんな赤いシリーズ張りのオーバーアクトだったっていうのも、ちょっとなぁ~という感じでした。

でも、何度も何度も見たこともあって、内容を覚えていたからか、大人になってこの映画がテレビ放映されたとき、やっと「そうだったんだぁ」と女の嫉妬や情念、また戦後の混乱期の背景など、子供の時には分からなかったことがすっと入ってきて、結構うまく作られた映画で、原作自体はその後も読むことはなかったので分からないのですが、映画だけでも「暗い時代背景につくられた悲惨な思い出を背負って運命に翻弄される女」みたいな切ない部分も伝わり、改めて良さを実感した映画でした。

まぁ、ギャラだけは高そうな低予算ぽい作りでしたから、あまり飛びぬけてこのシーンがみたいなのはないのですが、全体を通して感じる暗く、切ない、そしてやりきれない思いは大人にならないと分からなかったので、大人になった時、再度観ることができてよかったです。

Konoko
この子の七つのお祝いに(1982)

制作:松竹、角川春樹事務所
監督:増村保造
脚本:松木ひろし増村保造
撮影:小林節
音楽:大野雄二
美術:間野重雄
主演:岩下志麻杉浦直樹根津甚八芦田伸介辺見マリ岸田今日子ほか

【おまけ】
岩下志麻演じるゆき子の女学生当時の写真が映る場面があるのですが、セーラー服か単に制服姿だったか、岩下さん本人が写っている写真が使われたのですが、さすがに当時もう41歳だった志麻さんの制服姿は、いくらご本人が綺麗といってもかなりインパクトがあり、そのシーンで「ドッ!」って笑いが起こったのが忘れられません。